各国や各メーカーごとに独自のシステムが構築されている
こうしたチャデモ vs コンボ戦争が勃発したのは2012年。筆者(桃田健史)も参加した、米ロサンゼルスでのEVに関する国際会議での出来事だった。事前に配布されていたスケジュールには入っていない、緊急記者会見が行われたのだ。
壇上には、欧米の主要自動車メーカーの関係者。「我々は、チャデモではなく、コンバインデッド・チャージング(コンボ方式)を提唱する。コンボは世界標準となるべく、我々は連携して今後のEV開発を進める」というものだった。
この国際会議の前にも、チャデモに対する反対勢力はいたが、まさか欧米メーカーが一気にタッグを組むとは、筆者を含めて世界のメディアが椅子から転がり落ちそうになるくらい、物凄く驚いた。
記者会見場内には、チャデモ方式の充電器が欧州国内で導入済みだったインフラ事業者がいたが「ふざけるな! あまりにも無責任な話だ!!」と壇上のメーカー関係者につかみかかりそうな勢いだった。
チャデモ vs コンボ戦争が勃発してからの7年間で、大きな出来事といえば、中国がチャデモとの連携を許諾したことだろう。日本としては、とくに欧州勢力の反チャデモ派が勢力を維持している中で、世界最大の自動車大国である中国との連携によって、欧米との手打ちの可能性を探ろうとしているのか?
とはいえ、その中国では中国独自の国家規格であるGBによって、複数の充電インフラ方式や充電ソケットが存在する。これらをどのようにして、チャデモと融合させるのか? その道筋がまだハッキリとは見えてこない。
このほか、急速充電の電圧についてもポルシェが開発した800V方式について、インフラ整備のコストと、800V仕様の新車開発のメリットについて、自動車メーカーでは賛否両論がある。
当面、充電インフラを含めて、EVに関する自動車メーカー間の連携はギクシャクしながら進むことになりそうだ。