【試乗】新型アウディA1が魅せるひとクラス上の走りと世界感に初代S1オーナーも納得! (2/2ページ)

アウディのコンパクトモデルらしいしなやかな動き

 今回の試乗ではA1 Sportback 1st editionをメインに試乗したが、アウディバーチャルコックピットがA1に初めて採用されたとあって、ドライバーの目線の先には先進感が感じられる。上位モデルと比較すると、フル液晶ディスプレイのサイズは小ぶりに見えるものの、デジタル表示の強みを活かして、ハンドル上のスイッチ操作で速度計や回転計を大きく表示したり、小ぶりに切り替えてみたり、Googleマップをカーナビとして活用することもできる。手持ちのスマホと繋げば、Apple CarPlayやAndroid Autoのアプリを介して、お気に入りの音楽再生やハンズフリー通話をすることも可能だ。最新世代のアウディの技術に触れる上では、アウデイバーチャルコックピットはぜひ付けたい装備となりそうだ。

 また、インパネ中央部に設けられたモニターは、物理的なスイッチを排除した先進的なデザイン。ここでは、リヤビューカメラの映像を映し出したり、カーナビの手書き文字入力、オーディオの操作なども行える。タッチパネルは操作感がわかりやすいように、触れると小気味良い音とともに反応してみせるあたりもユニークだ。

 5ドアに一本化されたボディは、リヤシートにアクセスしやすく、ホイールベースの拡大に伴って、後席の膝まわりに余裕を感じる。荷室は従来よりも65リットルも拡大しており、ひとクラス上のハッチバック車を凌ぐ実用スペースを備えていることになる。後席は60:40の分割可倒式で臨機応変にアレンジすることも可能だ。このように、今回のA1は街乗りで手頃なサイズ感と居住スペースの広さ、使い勝手の面が上手くバランスされていると感じる。

 さぁ、次に気になってくるのは走行性能だ。

 試乗したのは4気筒1.5リッターの直噴ターボエンジン+7速デュアルクラッチトランスミッションのSトロニックが組み合わされた仕様。タイヤは215/45R17サイズを装着している。運転姿勢を整えていざ走り出してみると、アクセルの踏み出しに対して滑らかにタイヤが転がり出して行く。ハンドルの切り増しにスッと姿勢を変え、しなやかに走っていく感覚はアウディのコンパクトカーらしい動きともいえる。

 ただ、少し荒れた路面を走ると、ロードノイズを響かせながら、少しばかりタイヤ表面の硬さを感じたり、後席に乗ると上半身にわずかな揺すられ感を感じる部分があり、このあたりは今後改善されていくことを願いたい部分ではある。

 進化を感じるのは、最新世代の1.5リッター直噴ターボエンジンの走りっぷり。アクセルペダルを踏み込むと、1500〜3500回転の実用域で豊かなトルクを発揮してみせる。一方で、アクセルペダルを緩める「惰性走行」を行うような負荷が少ない状況では、第2、第3シリンダーを休止して2気筒の状態で走る気筒休止を行うことで、最大で20%ほど低燃費で走ることができる。それでいて、4気筒と2気筒が切り替わるときのショックは一切感じさせず、最新技術が影ながら支えてくれているといった状況だ。

 5ドア仕様のみとなったが、背中に重たいものを背負っているような違和感もなく、自然に走らせられるあたりもいい。なにより、ホイールベース拡大によって、身体周りにゆとりが感じられるし、先進的なインパネを後席から眺めた印象では、まるでA3クラスの上級車に乗っているような感覚を覚えた。

 今回のフルモデルチェンジのトピックは、一新されたデザインとボディサイズ拡大に伴う車内空間の拡がり、そしてデジタル化だ。じつは私自身、初代A1のハイスペック版のS1の3ドア車を所有しているのだが、新型A1のBセグメント以上、Cセグメント未満のデザインとパッケージングは想像していた以上に好感が持てた。初代A1は2011年から8年間に渡って販売してきていたが、運転支援機能やスマホと繋げてカーライフをフォローするデジタル化といった面で、ハード的に遅れをとっていると感じる部分もあった。そうした意味で、先代オーナーから見た今回のA1は、私たちを取りまく環境が大きく変化している時代にようやく追いついてきたという印象だ。内外装のデザインは、アウディの独自性が最新世代にアップレートされたと感じるし、A1としては初めて採用されたアダプティブクルーズコントロールも長距離移動の疲労低減に繋がることだろう。

 今後、容赦なく進化し続けていくライバルたちの進化を横目に、2代目となったA1がどんなバリエーションで展開を見せてくれるのか楽しみだ。


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