成熟期を迎えモデルチェンジのサイクルは伸びている
国産車では、長い間4年に一度のフルモデルチェンジというのが定番だったが、技術革新も一段落し、良くいえば成熟期、悪くいえば頭打ち気味になり、モデルチェンジのサイクルは徐々に伸びる傾向にある。そうしたなかで、流行り廃りを乗り越えて、10年、20年とモデルチェンジなしで、生産され続けたご長寿モデルを振り返ってみよう。
1)フォルクスワーゲン・タイプ1
ロングセラーといえば、真っ先に思い浮かぶのが、フォルクスワーゲン・タイプ1。いわゆる「カブトムシ」(ビートル)だ。ポルシェの創業者で偉大なエンジニアだった、フェルディナント・ポルシェが設計した歴史的な名車で、1938年に生産がはじまり、2003年まで65年間も作られ続けた。累計生産台数「2152万9464台」。四輪自動車としては最多レコードで、おそらくこのクルマの記録を破るクルマは出てこないだろう。後継車といえる三代目の「ザ ・ビートル」は、今年限りで生産終了。2011年の登場だったので、8年間の現役だった。
2)ラーダ・ニーヴァ
ビートルに次ぐ長寿モデルといえば、ロシアの自動車メーカー、アフトヴァース社が製造する「ラーダ ニーヴァ」だろう。ラーダ ニーヴァの登場は、1977年。42年間モデルチェンジなしの現役モデル。モノコックボディのSUVで、「ロシアのジムニー」といった存在だ。ボディサイズも、ちょうどジムニーシエラとほぼ同サイズ。本国では、約70万円~という価格の安さも人気の秘密。日本にも1980年代から輸入があり、国内でも稀に見かけることがある。
ちなみに去年フルモデルチェンジをして、いまだにたくさんのバックオーダーを抱えているスズキ・ジムニーもモデルチェンジの少ないクルマとして有名。先代、JB23型は1998年 ~2018年と20年間生産されていた。
3)トヨタ・センチュリー
国産車で長寿モデルといえば、トヨタのセンチュリー。先の天皇陛下の祝賀御列の儀で話題になったセンチュリーは、2018年に登場した3代目センチュリーがベースだが、初代は1967年~1997年まで、30年間、トヨタのプレステージサルーンとして君臨。「伝統的な日本の美」というのを特徴にしていた。
2代目センチュリーも、1997年 ~ 2017年と20年の歴史があった。国産の市販乗用車として、唯一のV型12気筒エンジン(5リッター280馬力)を搭載したクルマがこの2代目センチュリーだった。