EV大国の中国からの刺客が上陸! 日本のバス業界が中華製EVバスに独占される可能性 (2/2ページ)

中国のBEV路線バスが日本を走りまわる未来も想像できる

 すでに日本市場では、BYD汽車がBEV路線バスを販売しており、営業運行している地域も結構存在する。中国のバスメーカーが日本市場へ積極的なアプローチをするなか、迎え撃つ日系メーカーはBEV路線バスには及び腰というか、興味すら示していない様子が伺える。なかには、「バス事業者がEVバスを敬遠しているので」などという声も聞こえてくる。

 一部報道ではアルファバスの販売価格は4000万円を切る価格となっている。いすゞの路線バス「エルガ」のハイブリッド仕様は約3200万円であり、驚くほどの価格差ではないところがまた、本気度を感じてしまう。

 ある関係者があくまで私見での深読みとしながら、「2020年春に中国の習近平国家主席が日本を訪れる予定となっている。そこを加味すると、今回のアルファバスの初披露のタイミングが意味深なものに見えてくる。習近平国家主席が訪日の際に、EVバスを売り込むようなことを日本政府にアプローチしてくるなんてことも、まったくの非現実的な話とも言い切れない」と話した。

 以前、中国企業が海外に本格的に進出する時には、政府のお伺いをたてたり、政府からの指示があったりするという話を聞いたことがある。世界でも特異な政治体制下の中国だけに、あってもおかしくない話。これがあるレベルまで正しい話なら、政府の後ろ盾を受けての海外進出となるのだから、市場開拓資金のバックアップも当然得られるものと考えられる。

「政府系ファンドなどからの手厚い融資を受け、BEV路線バスの販売に際し、充電施設などのインフラについての無料整備などもやりかねない」とは前出の関係者。

 深読みは別としても、日系バスメーカーがBEV路線バスの開発に消極的に見え、しかもいますぐ市販化という環境でもないように見えるなか、BYDとアルファバスでの日本国内においての「中国BEV路線バス販売合戦」が激しくなる可能性は高い。日系メーカーがまごまごしている間に、日本の多くの地域で中国ブランドのBEV路線バスが走りまわる姿が当たり前となる日もそう遠くはないかもしれない。

 かつてトヨタ・プリウスがいち早く量産ハイブリッドカーとして登場し、いまでもトヨタがハイブリッドカーでのリーディングブランドとなっているのは、他メーカーに先んじて市販化を積極化し、実用実績を積んだことも大きい。おもに中国国内となるが、すでに運行実績を積んでいる中国メーカーのBEV路線バスもそれが強みになっているといえよう。いまの日系メーカーが対抗していけるかというと、疑問が残ってしまうのが現状といっても過言ではない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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