販売現場では先進性がアダとなっているという声も
まずはディスプレイオーディオの標準装備。機能的な話の前に、標準で7インチ、オプションで9インチのディスプレイがインパネセンター上部にオンダッシュ(格納不可)で装着されることでまずつまずくとのこと。一部の高額車やミニバンなどを除けば、ディーラーオプションとなる、ダッシュボードに納まる2DINサイズのオーディオやカーナビを装着するのが、いままでのトヨタ車の基本であった。それが急に格納できないオンダッシュタイプのディスプレイとなり、しかもオプションで9インチを選べばかなり大きく目立ってしまうため、この時点で購入を躊躇するひともいるとのこと。
さらにディスプレイオーディオの採用により、音楽CDの再生ができなくなったのも、一部には混乱を招いている。「スマホとつないで……」といわれても、ガラケーしか持っていないひともいれば、スマホを持っていてもほとんど電話とメールしか使わないひともいる。かつてベストセラーカーとして長く君臨し、初代デビューから53年間も販売を続けてきたモデルとしては、少々飛躍しすぎてしまっている部分も目立っているように見える。
販売現場でも手取り足取りじっくり使い方を説明できるスタッフが少なく、販売に少なからずブレーキをかけているというのは否めないだろう。新型カローラを購入したものの、ディスプレイオーディオの使いこなしを断念し、ラジカセを車内に持ち込んで音楽を聴いているユーザーがいるというのは、広く聞く話である。
サイズダウンした日本仕様では、セダンよりツーリングのほうがサイズダウンしたイメージ(寸詰まり感)をスタイルから色濃く感じ取ることができるのも販売現場では心配の種となっている。販売現場では、「荷室の使い勝手も悪くなりました。また先代フィールダーをお乗りのお客様などは、後席リクライニング機構がなくなったことに不満を示されることもあります。ボディ剛性強化のためと説明しても基本性能アップより、機能装備がなくなったことのほうを残念がるケースも目立ちます」とのこと。
今回の3ナンバー化により、走行安定性や衝突性能などクルマとしての基本性能が向上したことも魅力的だ。しかし長いこと見た目装備の充実や質感アップを優先してきたカローラだけに、歴代カローラユーザーを中心に、基本性能が向上したと話をしても、購買意欲をなかなか刺激しきれないのが現状のようである。
価格設定に対する性能や、安全装備などの装備の充実具合を見れば、姿かたちは変わっても、カローラらしい“買い得感”は維持されている。ただあまりにも性能や装備がステップアップしてしまい、購買意欲を刺激するどころか、“ドン引き”されてしまうことにもなりかねず、それがいまひとつ販売に勢いがない状況となっていると考えられる。