選択肢を増やすことで販売促進へとつなげている
ただここ最近は広汽豊田のC-HRと一汽豊田のイゾア、広汽本田のヴェゼルと東風本田のXR-Vなど、両メーカーともに、すでにさまざまなモデルで兄弟車をラインアップしてきているので珍しい話ではない。しかし、SUV人気がかなり高い中国市場において「ドル箱」ともいえる看板モデルのRAV4やCR-Vの兄弟車が出ることは、中国市場でSUVのさらなる販売上積みを狙おうとしていると見るのは自然の流れとなるだろう。
たとえば、広州のある華南地区では、華北地域の天津で生産されるカローラよりも、地元で生産される兄弟車のレビンのほうが街なかでよく見かける。広い中国では物流面でまだ問題が残っていたり、「地元愛」のようなものが強いので、地元メーカー製の兄弟車は強力な助っ人にもなるのである。
またユーザーの多様化もあるだろう。RAV4にしてもCR-Vにしても中国市場も意識はしているのだろうが、北米市場でもドル箱車となっているのでやはりアメリカっぽさも残ってしまっている。そこで、より中国市場に寄り添ったスタイリングなどを採用した兄弟車の設定により、消費者へ多様な選択肢を与えることで販売促進にもつながるのだ。消費者のクルマへの関心は、いまの日本とは比較にならないほど高いのである。
新車販売に陰りが見えるような報道が日本では目立っているが、広州ショー会場で見る光景は日本とはまったく異なり、まだまだ消費者の新車に対する眼差しに熱いものを感じた。新車販売促進への刺激剤としても、ここで紹介した2台は大きく貢献してくれそうだ。