オートライト車よりも少し早めのライトオンが得策!
こうしたことから、2020年から義務化されるオートライトは「周囲の照度が1000ルクス未満になると2秒以内に点灯し、周囲の照度が7000ルクス以上であれば5秒超300秒以内で消灯する」規定になっている。手動ヘッドライトも、このオートライトの基準に準ずるのが間違いない。
というのも、オートライトの基準の正統性は別として、薄暮時間帯では他車のライトが点灯している中に、無灯火のクルマが紛れ込むとそのクルマの被視認性が極端に落ちて、周囲のクルマのドライバーから見落とされてしまう可能性が非常に大きくなるからだ。ライトを点けて存在感のあるクルマの中で、無灯火で埋没するのが一番危ない……。したがって、手動ヘッドライトのクルマはオートライト車とほぼ同時、いやむしろオートライト車に先駆けて、早めにライトオンするのが得策だ。
そのためには、オートライトが点灯する基準、1000ルクスがどのぐらいの明るさかを知っておく必要がある。1000ルクスは「晴天の日の日没15分ほど前の明るさ」が目安とされている。これが曇天時になると、日没の30分前にはおよそ1000ルクスになってしまうので、より早めのライトオンが必要。JAFでは実験の結果から「信号や他車のブレーキランプなどの点灯が目立ち始める時の明るさ」=1000ルクスという目安を発表している。そういう意味では以前から「おもいやりライト運動」などで推奨されている、日の入り(日没)30分前のライトオンだと余裕があって理想的。
ちなみに、一年で昼が一番短い日は冬至。今年(2019年)の冬至は12月22日で、東京の日の入りは16時31分。したがって東京では16時00分ごろにヘッドライトを点灯するのがベスト。これが札幌だと日の入りは16時03分なので、ライトオンは15時30分頃、大阪だと日の入りは16時52分なので、ライトオンは16時20分頃からでもOK。なお北海道や東北、あるいは日本海側の雪国で、雪が降っているような天気のときには日の入り時間に関係なく、昼間でもライトオンで走った方が安全だ。
また地域に関係なく、雨の日もできればライトオンがおすすめ。雨天の昼光の平均の明るさは1000~5000ルクスといわれているので、オートライトが点灯する条件に入ってくることは十分あり得る。とくに雨の日に高速道路を走る場合は、水しぶきで視界が悪くなることも考えて、昼でもライトオンで走ったほうが安心できる。
まとめると、ライトオンは後手に回るとリスクが増えるものなので、手動ヘッドライトのクルマのドライバーは、季節や天候に関わらず、オートライトのクルマより、ちょっと早めにライトを点けることを心がけよう。