スポーティーな走りを求めるならヤリス!
一方、トヨタ最新のTNGA第4弾のコンパクトカー用GA-Bプラットフォームを採用するヤリスのほうは、ガソリンエンジンと、トヨタ自慢のHVを用意するのはもちろんだが、ホイールベースを先代ヴィッツ比で40mm伸ばしているものの、それは後席に使われず、前席居住性に利用しているのである。実際、前後席間距離は先代ヴィッツより狭まっている。
ルーフだけでなく、前後席のヒップポイントまで低めているヤリスの、低重心にこだわったパッケージングは、まさに走るためのもの。そう、新型フィットと対極をなすような挑戦的なルックスや、GRヤリスが早々と登場したことからも分かるように、ヤリスは前席優先のスポーティーなコンパクトカーとして仕立てられていると見ていいだろう。また、HVモデルにはFFに加え、後輪をモーターで駆動する、トヨタのミニバンなどではおなじみの電気式4WD、E-Fourの4WDを、トヨタのコンパクトカーとして初めてラインアップしている点も新しい。
東京モーターショーで未来のモビリティーにこだわったトヨタだけに、コンパクトカーのヤリスにも、トヨタ最新の予防安全パッケージである「Toyota Safety Sense」のほか、車載通信機(DCM)を標準装備。トヨタのコネクテッドサービスである「T-Connect」、そしてエアバッグの展開とも連動するヘルプネットも用意されるのだ。
話をまとめると、ファミリーカーとして、圧巻の後席や荷室の広さに加え、ホンダ得意の”魔法”と呼んでもいいシートアレンジ性による、さまざまな用途、使い勝手に応えてくれる、万人向けであり、さらなる安心感も加わった「心地良い」コンパクトカーが新型フィットである(ヤリスと違い、フィット3ではホンダ・シャトルと呼ばれるワゴンものちに派生車として加わるはずだ)。
そして、基本、パーソナルなカップルズカーとして、スポーティーな走りやGR(GAZOO Racing)への憧れ、最先端のコネクテッドサービスにこだわる人向けなのが、躍動感あふれる大胆なデザインをまとったヤリスということになるだろう。
もちろん、新型フィットも、定評ある走行性能や燃費性能が一段と磨かれているはずだが、見た目の印象(エクステリアデザイン)そのものが、両車の大きく異なるキャラクターを、端的に表わしていると考えていい。言い方を変えれば、あまり悩まずに選べる2台というわけだ。