ブースト圧の調整で排気量2倍の性能を与えることも可能
2)ブースト
ブーストとはターボチャージャーが排気ガスの力でコンプレッサーを回し、空気を圧縮したときの空気の圧力=「過給圧」のこと。単位は、kPa(キロパスカル)が国際基準。以前は1平方cmの面積に何kgの力が加わっているかを示す「kgf/cm2」が主流だったが、「1kgf/cm2=98.07kPa」なので、通常は1kgf/cm2≒ 100 kPaで換算しても問題ない。
簡単にいうと、ブーストが100kPaの場合、大気圧の2倍の空気がエンジンに送り込まれている状況だ。2リッターターボのエンジンなら、NA4リッター級の吸入空気量をエンジンに吸わせていることを意味していて、排気量に直結するトルクも4リッター並に増大する。
細かくいうと、国産車ではゲージ圧もしくは相対圧といって、大気圧をゼロと考え、それを基準に加圧された圧力だけをブースト計で表示している。一方欧州車などは「大気圧=1.0+過給圧」という絶対圧で表示する場合が多い。またターボだけでなく、スーパーチャージャーの過給圧も同じだ。
3)タービン
ターボチャージャーは排気ガスの勢いで回る風車=タービンと、タービンと同じ回転軸に取り付けられたコンプレッサーで構成されている。もともと「ターボチャージャー」という言葉自体、タービンとスーパーチャージャー(過給器)を合わせて作った単語なので、本来はターボチャージャーの一部(半分)がタービンだった。しかし「タービン交換」=「ターボチャージャーユニットの交換」という意味でも使われていて、一般的にはターボ=ターボチャージャー本体と同義語のようにもなっている。
辞書などには、タービンとは「各種の流体のもっているエネルギーを有用な機械的動力に変換する回転式の原動機の総称」と書かれていて、クルマのターボチャージャー以外にも、空気、蒸気、ガス、水などで回すタービンもある。
ちなみに、ベルトとプーリーなどを介してクランク軸からの出力によって過給器を駆動するスーパーチャージャー(機械駆動式過給器)には、コンプレッサー(もしくはブロワー)はあるが、タービンは不要なのでついていない。