海外メディアの見方は厳しい
では、海外からの報道関係者の東京モーターショーに対する評価はどうか? はっきり言えば、評価どころか、現地に来てもいない。なぜならば、彼らにとって東京モーターショーは国際格式のモーターショーという意識がすでにないからだ。
フォルクスワーゲングループやBMWなど、世界の主要メーカーは東京モーターショーから撤退。また、日系メーカーの発表でも、世界市場に大きな影響を与えるような量産車やコンセプトモデルが見当たらず「しょせん、国内向けのショー。わざわざ東京まで行く必要もない」というのが、海外メディアの本音である。
ただし、こうしたモーターショー地盤沈下現象は東京に限らず、世界各地で同時多発的に発生している。近年、EVや自動運転など、自動車に関する進化は目ざましいのだが、そうした最新技術がユーザーの心にはいまひとつ刺さらない。また、自動車のキモである外装デザインについても、衝突安全への対応などもあり、各メーカーでの個性が薄れており、差別化が難しい。
そうしたなかで、自動車メーカー側がモーターショーという場で、単純にクルマを並べるだけの宣伝手法に限界を感じてきており、そのためショーからの撤退が相次いでいる。そんな中身の薄いショーを見来る人が減るのも当然だ。
こうした世界的な、モーターショー地盤沈下時代にあって、東京モーターショーのエンターテインメント化は、次世代モーターショーの「ひとつの可能性」を示したといえるかもしれない。
ただし、単純なエンタメでは、すぐにネタがつきて、お客に飽きられてしまう。再来年2021年の第47回東京モーターショー、海外からも「なるほど、こんな手があったか!」と称賛されるようなイベントを目指して、いまから仕込みをする必要がありそうだ。