普通のクルマの展示は一切なしだがホントにこれでいい? 東京モーターショー2019でトヨタが目指したものとは (2/2ページ)

クルマに対して興味のない層にもわかりやすく伝えたかった

 では、なぜ、今回の東京モーターショーで、トヨタが「市販車を展示しない」ショーに踏み切ったのだろうか。トヨタの関係者はこう話してくれた。

「100年に一度の大変革期において、CASEやAIなどの概念が少しずつ浸透し、通信手段も急激に発達するなど、誰もが未来を知りたい、感じたいというフェーズに来ていると、トヨタは考えています。実際、CESやサウス・バイ・サウスウエストなど、グローバルでのイベントにもその傾向が現れてきているのです。このような背景を踏まえて、第46回東京モーターショー2019のトヨタブースをどのようにしたら、より多くの人が見に来てくださるか、もっと楽しんでいただけるかを考えた結果、未来志向のブースを企画することになったのです」。

「そこで、トヨタのブーステーマを“PLAY THE FUTURE”とし、エンターテインメント要素満載のテーマパークとして、お客さまに楽しんでもらいたいと考えました。トヨタが描く、人が主役の“未来のモビリティ社会”。e-Paletteをはじめ、さまざまな未来のモビリティを登場させ、これからどんな未来が待っているのか、見て、触れて、楽しんでいただきたいとの想いを込めたのです」。

 結果クルマ好きはもちろん、子どもや女性などクルマに深い興味を持たない来場者にも、クルマを越えた未来のモビリティ社会を間近で見せ、トヨタが提示する一足先の未来体験によって、老若男女を問わず、大いなる興味を持たせ、モビリティの未来を知るきっかけを作ってくれたのが、モーターショーの常識を覆すトヨタのブースだったというわけだ。

 こう言ってはなんだが、今回のモーターショーでもっとも盛り上がっていたのは、もしかしたら、新車、市販車を一切展示していないトヨタのブースだったりして……。さて、2年後の2022年に開催される第47回東京モーターショーで、トヨタがどのような、今、2019年に生きるわれわれが想像もできないような未来のモビリティを披露してくれるのか。そしてどんなコンセプト、演出、展示方法で挑むのか。今から楽しみでしょうがない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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