電気自動車は次世代の主流といったムードが広がりつつある
ディーゼルゲートと呼ばれたディーゼルエンジンの排ガス処理に関する問題が発覚して以降、欧州の自動車業界は電動化が話題の中心となっている。当初はマイルドハイブリッドでお茶を濁す程度の電動化が主流になると言われていたが、もはやBEV(バッテリーEV)と呼ばれるエンジンを積まない純粋な電気自動車こそ次世代の主流といったムードとなりつつある。
国連の気候変動サミットにおいて涙ながらに訴えた活動家グレタ・トゥーンベリさんがヨットで大西洋を渡ったように、欧州では「#Flygskam(飛び恥)」という言葉が流行るなどCO2排出量を減らすことが大正義となっている状況を見聞きしたこともあるだろう。CO2の排出量削減については政治的な駆け引きも無視できないが、現時点ではそれを否定することは野蛮な行為とみなされるのも、また事実だ。
つまり走行中にCO2を排出しないBEVは絶対正義といえる存在となっている。たしかに生産時のCO2排出量まで考えるとBEVよりも古いエンジン車を大事にするほうが有利という見方もあるが、再生可能エネルギーの活用が広がることで発電は必ずしもCO2排出を伴うものでなくなっている。化石燃料を使い続けるという選択に理解を得るのは難しい。
では、BEVの販売量が増えているのかといえば、その答えは微妙だ。たとえば、電気自動車専門メーカーとして独自のブランド力を持つテスラ。その2019年第3四半期の世界新車販売台数は前年同期比で16.2%増となっている。しかし、絶対的な台数でいえば9万7000台程度であって、世界の自動車生産台数(おおよそ2250万台)からすると誤差の範疇といえるような販売規模でしかない。