世界のニーズに合わせて各仕向地に最適なカローラが生まれる
日本ではバブル経済が崩壊し、1995年登場の8代目カローラは本来の路線へと戻り、さらに環境や安全面にも対応したモデルとなった。カローラは世界中で販売されるトヨタを代表するグローバルカーである。順調に販売を重ね、1997年には累計販売台数でVWビートルを上まわってギネス記録に認定された。
そんなグローバルカーのカローラだが、あるジレンマを抱えていた。それは「国内と海外の指向の違い」。カローラ最大のライバルは、グローバル的にはVWゴルフだ。ゴルフは1998年に日本で発売された4代目ですでに全幅1.7mを超えて3ナンバーサイズになるなど、モデルチェンジのたびに大型化している。7代目では全幅1.8m近い。世界的にはこれがクラスのスタンダードなのだ。だが依然として国内ではコンパクトさが求められる。
トヨタもついに10代目から海外向けとは異なる、国内専用モデルを用意。「アクシオ」とサブネームを与えて心機一転を図った。国内向けはコンパクトさを守ったのだ。
一方、トヨタは1997年にこれまた自動車史に名を残すクルマを世に送り出す。プリウスである。ガソリンエンジンだけでなく、大きなバッテリーとモーターを搭載する、世界初の量産ハイブリッドカー。当時高まって来つつあった環境問題に一石を投じる衝撃のクルマだった。10・15モード燃費は驚異の28.0㎞/L。同クラスのガソリン車に比べ2倍の数値であり、世界中が驚愕した。
プリウスは代を重ね、2011年、プリウスに続くハイブリッド専用車としてアクアが登場する。さらにトヨタはハイブリッドモデルをさまざまな車種に拡大していく。
2012年、カローラ・アクシオとしては2代目、カローラ通算で11代目となるモデルは、当初ガソリン車のみのラインアップだった。しかし2013年、アクア用システムをカローラ用に仕立てた1.5Lハイブリッドモデルを設定。1.5 LガソリンモデルのJC08モード燃費20.0㎞/Lに対し、ハイブリッドは33.0㎞/L。環境面でもカローラはトップランナーに踊り出たのだった。
1995年 8代目カローラ
バブル崩壊し本来のカローラへ原点回帰。スポーツモデル「レビン」の終焉
カローラ本来のシンプルで使い勝手のいいコンパクトセダンへと回帰。約50kg軽量化され、低燃費を実現。またバブル崩壊に対応し、車両価格も引き下げられた。レビンはこのモデルで最後となった。
カローラ・レビンの最終モデル。4A-GE型1.6LエンジンはNAだが165馬力を発生。2000年に消滅した。
3列シートを採用するカローラ
1997年 カローラ・スパシオ
カローラより全高を高くし、ハッチバックを備えミニバンに仕立てた。3列シート車は、2列目をジュニアシートにしたり、折りたたんだりできた。2列シート仕様の4人乗りも用意され、後に5人乗りも追加で用意されている。
2000年 9代目カローラ
5ナンバーいっぱいのボディに広い室内。ワゴンモデルは「フィールダー」に
流麗でモダンな印象へと生まれ変わった9代目。人気のワゴンはこの代より「フィールダー」を名乗った。カローラ初の横滑り防止機構(VSC)やトラクションコントロール(TRC)も設定された。
人気の高いワゴンはこのモデルから「フィールダー」と命名。乗り味もセダン級に進化した。
2006年 10代目カローラ・アクシオ
海外向けと袂を分かち国内専用モデルに。サブネームが与えられ心機一転
「アクシオ」というサブネームが付く10代目は国内専用設計となった。1.5Lと1.8Lが用意され、トランスミッションはCVT。車庫入れなどで重宝するバックモニターを全車標準装備した。
ワゴンの車名は先代同様カローラ・フィールダー。ワンタッチ格納リヤシートを全車に標準装備する。
受注生産のターボエンジン搭載モデル
2009年 カローラ・アクシオ“GT”TRDターボ
TRDのコンプリートカー。ベースは1.5Xだが、専用ターボを装着し150馬力を発生。インタークーラーやサスペンション、17インチホイール&タイヤ、さらにエアロパーツやインテリアまで完璧。驚くことにフィールダーにも設定された。
2012年 11代目カローラ・アクシオ
コンパクト化でより日本でも使いやすく。待望のハイブリッドモデルも設定
全長を50mm短縮しコンパクト化された。搭載エンジンは1.3&1.5L。2013年にはアクア用のシステムを最適化させ、JC08モード燃費33.0㎞/Lのハイブリッドモデルも設定した。なおハイブリッドモデルはセダンだけでなく、フィールダーにも設定されている。