WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

歴代のDNAを受け継ぎながら時代に応える新たな価値を! 新型トヨタ・カローラ開発責任者インタビュー (3/3ページ)

歴代のDNAを受け継ぎながら時代に応える新たな価値を! 新型トヨタ・カローラ開発責任者インタビュー

5ナンバーの呪縛に囚われない本当の価値をお客さまへ

 1966年に初代が発売されたトヨタ・カローラ。当時は、自動車がそれまでの高嶺の花という存在から、多くの人々の手に届く存在になり始めた時代。その立役者となった車種のひとつがトヨタ・パブリカだった。未曾有の高度経済成長期が幕を開けようとしていたこの時代、人々はより質感の高いクルマを求めたいと考えた。その期待に応えるべく登場したのがトヨタ・カローラだ。12代目にあたる今回の新型カローラの開発で、責任者を務めた上田泰史さんは次のように語る。

「53年というカローラブランドの長い歴史は、日本国内はもとより、世界を見渡しても誇れるものだと思いますし、それゆえにブランドの重みもしっかり感じています。われわれ、開発チームは、新型カローラを作り上げるにあたって、改めてカローラの歴史を振り返りました。初代の開発責任者だった長谷川龍雄(故人)が目指したのは、ゆとりのある、ひけ目を感じない、いつまでも乗り続けたいと思えるクルマでした」

「より多くのお客さまが手に入れられる価格で提供することで、世のなかに貢献したい。そして、お客さまの期待を上まわるプラスアルファの価値を提供したいと考えていたんです。その考え方は、カローラのDNAとして、53年もの長きにわたり、歴代のカローラに脈々と受け継がれており、そして私たちもその考え方を守り続けるという信念で、今回の新型開発に取り組んできました」

 変わることなく守り続けるDNA。そして、つねに期待を超えるために変わり続けること。いわば「変わらぬ存在であるために、時代のニーズに合わせて変わり続けていく」ことが、カローラのこだわりであると語る上田さん。その言葉どおり、新型でもさまざまな大変革が見られるが、なかでも歴代初となる3ナンバーサイズ化は、従来のカローラファンならずとも気になるポイントのひとつではないだろうか。

「5ナンバーという記号性だけにとらわれるのではなく、お客さまが5ナンバーサイズのどんな点にメリットを感じていらっしゃるかをしっかり押さえ、そこを実現させようと考えました。日本市場モデルでは、最小回転半径などの取りまわしのよさや、狭いスペースでも駐車や乗り降りがしやすいなどの特徴を備えた、日本専用の設計を行っています。と同時に、TNGAプラットフォームの活用によって、低重心のスタイリングや走りのよさ、車内空間の余裕など、グローバルモデルと変わらない魅力をも兼ね備えています」(上田さん)

 開発の初期段階から携わってきた梅村伸一郎さんにもうかがった。

「5ナンバーへのこだわりは、じつは当初、社内にもすごく強くありました。けれど、もしも5ナンバーサイズを維持するとなると、新型で採用されているTNGAプラットフォームでいくのは難しい。このプラットフォームは、新型プリウスやC-HRと共通のもので、走りやパッケージなど、非常に多くの進化をもたらしてくれる優秀なプラットフォームです。このメリットを新型カローラのお客さまにも味わってほしい」

「そう考えて私たちがたどり着いた結論は、3ナンバーサイズだからこその走りやパッケージのよさを実現しつつ、取りまわしについては従来の5ナンバーサイズと変わらぬよさを備えることだったんです。その実現のためのひとつの手段が、グローバルモデルとは別に、国内専用のパッケージングとすることでした。開発初期段階で日本に最適な寸法を決め、その寸法を最後の最後まで1mmたりとも妥協しませんでした」

 実際に、新型カローラでは、15インチタイヤ装着モデルは先代と同等レベルの最小回転半径5mを実現。さらには17インチタイヤ装着のグレードでは、先代の16インチ装着車よりも小さな最小回転半径5.3mまでも達成している。このほか、日本の道路事情特有の狭い駐車場でも、隣のクルマや壁を気にせず乗り降りできるよう、ドアの開く角度や開口位置の最適化や、ドアミラーの取り付け位置やドア形状の工夫などと合わせ、先代モデルと比べて遜色のない使い勝手を実現している。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了