革新的な進化と変化はカローラだからできるのです
新型カローラの目をひくポイントは、ほかにもたくさんある。クルマ好きにとっての注目ポイントのひとつは走りの進化だろう。
「目指したのは、ずっと乗っていたくなる走りの楽しさです。基本的にはカローラスポーツと変わらない方向性ですが、サーキット走行も楽しめるカローラスポーツに対して、国内モデルのセダンとワゴンでは、100km/hまで。とくに使用頻度の高い60km/hまでの乗り味を磨き上げることに徹底してこだわりました。帰り道に少し遠まわりをしたくなる、そんなように日常を楽しくさせてくれる乗り味を目指したんです」(梅村さん)
新型カローラでは、プラットフォーム部品の全面刷新をはじめ、新開発のショックアブソーバーも採用。さらには、ドライバーの視線のブレを極力抑える「視覚情報を考慮した性能設計」なども実施。車両の挙動を人間が予測しやすい動きとすることで、より自然な運転感覚を得られる乗り味を目指した。目線を安定させることで、いわば数値以上の進化が体感できることを狙ったこの味付けは、これまでのトヨタにはなかったコンセプト。そんな先進的な方向性が、多くの人々の手が届きやすいカローラというクルマで実現されたことには、いささか意外性を感じるが、そんな疑問を上田さんはあっさりと否定する。
「革新的な進化は、カローラなのに、ではなく、カローラだからできる。われわれはそう考えています。繰り返しになってしまいますが、初代誕生から53年、それぞれの時代に合わせ、お客さまの求める一歩先を行く進化を実現してきたのが、カローラのDNAなんです」
ワンランク上の性能や質感、走りをはじめ、5ナンバーサイズというイメージに対する変革。それらのことも、カローラというクルマが先駆けになることで、やがて世のなかのスタンダードになるだろう。そうなればクルマ社会全体が豊かになっていく。その牽引役になるのもカローラの使命であり、カローラの歴史でもあったと語る上田さん。
53年前の初代開発時、開発責任者の故・長谷川龍雄さんが、「地球人の福祉と幸福のためにカローラを」というコンセプトを掲げていたのをご存じの方もいらっしゃるだろう。その想いは今もカローラの開発チームに受け継がれている。
初代誕生から半世紀。新型カローラは、これからの新しい半世紀に向けたトップバッターと言えそうだ。