専用設計を施すことで日本の環境にジャストフィット
新型カローラ/カローラツーリングの最大のトピックは、ボディが3ナンバーサイズになったことだ。先行発売のカローラスポーツで、すでに3ナンバーサイズとなっていたが、こちらはいわゆるグローバルモデルに合わせたもの。カローラ/カローラツーリングでは、日本国内専用のサイズ設定となっている。
ボディスタイリングとしては、グローバルモデルを基準とし、そのデザインモチーフを採り入れながら、日本専用に「リデザイン」された。具体的なボディ寸法としては、先代型プリウスほどのサイズが目標だったが、そもそも日本の道路環境に合わせるために、これまでカローラシリーズは「5ナンバーサイズ」を守り通してきたのだから、3ナンバーサイズになるとしても、その拡大幅は極力小さくしたかった。
そこで、フェンダー、ドア、ルーフなどのボディパネルを専用設計した。ベースのボディに対して、大幅な変更を加えることになり、そのために設計および製造工程も変更し、目標とするサイズを実現している。
ボディ外寸は、カローラ:4495×1745×1435mm、カローラツーリング:4495×1745×1460mm。全長と全幅は共通で、全高はルーフアンテナの分だけカローラツーリングが大きい。ただ、全長は従来のカローラアクシオに対して95mm大きくなっているものの、前後の絞り込みデザインや、ドアの薄型化、ドアミラーの取り付け位置の変更によって、実質的な全幅は数値(50mmアップ)ほどではない。ドアミラーを収納した状態での「ミラーtoミラー値」では、カローラアクシオよりも10mm大きくなっているだけだ。
また、GA-Cプラットフォームの採用により、トレッド(車輪中心の左右間距離)を大きくすることができ、タイヤの切れ角も増加。最小回転半径を5.0〜5.3m(装着タイヤサイズによる)と、コンパクトセダン/ワゴンとしてはそれほど大きくはない数値に収め、ボディサイズと合わせて高い取りまわし性を確保したと言えるだろう。
車内空間や収納スペース、さらにはバッテリーなどの重量物の配置も含めたパッケージングという点でも、TNGAの思想により最適化が図られている。TNGAでは、乗員の着座位置や視界特性、運転姿勢なども考慮し、全体のレイアウトを決める。空間効率を追求しつつ、バッテリーや燃料タンクなどを極力低い場所に設置し、低重心化を図る。さらに新型では、ドライバーに合わせてダッシュボードを薄型化したり、フロントピラーを細径化して遠方に配置するなどして視界特性を向上させている。運転席足もとのペダル配置も最適化している。
その結果、室内空間の数値だけを比較すると従来のカローラアクシオよりも小さくなっている部分もあるが、快適性は向上している。全幅を小さくするためにドアを薄型化したが、ドアトリムの形状を工夫することで、左右腕まわりの空間が広がり、ドアが最小開口時でも乗り降りしやすくなっている。カローラツーリングはもちろん、カローラにも後席に6対4分割可倒式シートを採用(W×Bのみ)することで、長さのある荷物も積載できるようになった。
注目の装備としては、まず予防安全装備が充実している。後方からの接近物に対して警報を発する「リヤクロストラフィックアラート」が警報だけでなく自動ブレーキをかける「リヤクロストラフィックオートブレーキ」に進化するなど、第2世代の安全装備「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備している。
また、コネクティッド機能としてDCM(車載通信機)を全車に標準装備。T-Connectの契約が必要だが、ヘルプネットやオペレーターサービスも利用できる。さらに、SDL(SmartDeviceLink)規格に対応するディスプレイオーディオを標準装備。スマートフォンとの連携機能を拡張して快適性が高められている。