ビッグレースの前座でも豪華な布陣に観客も湧いた
昨今はモータースポーツといえば、F1やスーパーGT以外は多くの観客を集める人気イベントとは言い難い状況だ。若者のクルマ離れとか、モータースポーツ文化が根付いていないとか意見はいろいろあるが、かつてツーリングカーレースが大人気を誇った時代があった。
古くは1970年代に始まったマイナーツーリングカーレース。あの日産スカイラインGT-R初代となるKPGC10型が活躍した舞台としても知られる。TSカテゴリーのレースとして開催されるそのレースは、つまり市販車を改造して競われるもので、改造範囲が制限されていたのでベース車両の基本性能の高さが求められた。
参加車両は日産が2000ccのスカイラインGT-R、トヨタはセリカ1600GTやカローラ・レビン/スプリンター・トレノで当初闘い、勝ち目がなくなるとセリカ2000GTをデビューさせるなどした。またマツダはロータリーエンジンのサバンナRX-3やカペラを投入。スカイラインGT-Rと名勝負を繰り広げたのだ。
1300ccクラスでは日産がA12型エンジンを搭載するB110型サニークーペで一世を風靡し、FFのチェリークーペを投入して販促効果を高めていた。ホンダは空冷のクーペ9をあきらめ初代シビックでサニーに勝つ。このマイナーツーリングレースはおもに富士スピードウェイで開催される本格的レーシングカーのGC(グランドチャンピオンレース)や、鈴鹿サーキットではF2グランプリレースの前座として開催されていたが、観客の多くは身近な車両にワークスドライバーが搭乗し、プライベーターの神業的チューニングとの競い合いにも魅了されていた。
しかしマイナーツーリングレースは1970年代後半に起こった第一次石油ショックの影響でメーカーの参戦や開発が凍結され、やがて終焉を余儀なくされる。