これがトヨタの力だ! 世界の自動車業界を震撼させた技術5選 (2/2ページ)

安全性を高める機能や便利なデジタルメーターも積極的に開発

3)トラクションコントロール

 滑りやすい道などでの駆動輪の空転を抑え事故防止に寄与するトラクションコントロールは、1987年登場の8代目クラウンが日本初である。初期のトラクションコントロールは過剰制御な部分もあったものの、1993年登場の2代目スープラでは電子制御スロットルを組み合わせたスリップコントロールと呼ぶものに発展。スリップコントロールは駆動輪となる後輪の力を100%近く使うというコンセプトを持ち、スポーツ走行の際の武器になるほどのものに進化した。

4)VSC

 横滑り防止システムと呼ばれるアンダーステアやオーバーステアによるコースアウトなどを防ぐ安全装備は、1995年登場の2代目クラウンマジェスタの4WDで、トヨタがVSCと名付け日本で初めて実用化した。ちなみにこのタイミングはメルセデス・ベンツが世界で初めて横滑り防止システムを実用化した直後だった。横滑り防止システムは自損事故の減少に大きな貢献を果たしたほか、コストダウンが進んだ現在では当たり前の装備となった自律自動ブレーキの重要な基盤のひとつにもなっており、2代目クラウンマジェスタは歴史に名を残すべき存在といえる。

5)デジタルメーター

 かつてハイソカーと呼ばれたクルマたちでよく見たデジタルメーターは、1981年登場の初代ソアラが日本車初採用だ。当初のデジタルメーターは未来感こそあったものの、「チカチカして見にくい」などの評価も少なくなかった。しかし将来的な低コスト化や発展性といった可能性を信じたトヨタは、デジタルメーターが遠くに見えるように工夫し、疲労軽減に配慮したスペースビジョンメーターにするなど、コツコツと手を加え続けた。

 一時期デジタルメーターは装着車が減った時期もあったが、初代プリウスや1999年登場の初代ヴィッツといった量販車に再び採用されはじめ、今では他社も含め珍しくないものとなった。

 トヨタが初めて実用化した技術を見ると、トヨタの「熟考の末やると決めたことは時間を掛けてでもやり続け、かならずものにする」というよきDNAがよく分かり、この点は何事でも見習うべきことである。


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