可変ダンパーは硬さを走行シーンに合わせて変更することが可能!
というわけで、操縦安定性を重視するなら、ダンパーはある程度硬い方が望ましい。そのダンパーの硬さは、前述の通り、ピストンのオイルの通路、バルブ径の大小で決まり、これまではファミリーカーやコンフォートカーは、乗り心地重視のソフトなダンパー。
スポーツカーは、操安性重視の固めのセッティングと、用途に合わせつつどこかで、ダンパーの硬さを妥協するしかなかった。
可変ダンパーというのは、その固定されていたダンパーの硬さを走るシチュエーションやドライバーの好み合わせて、あるレベルの範囲で任意に変更できるダンパーのこと。
とくに最近のプレミアムカーに増えている、電子制御式の可変ダンパーは、ダンパーの硬さを決める、オイルの通路に電磁力で動くリニアソレノイドを用いた減衰力可変バルブを採用することで、スイッチひとつでオイルの通路を太くしたり細くしたりすることを可能にしている。
基本的には、ハード、ノーマル、ソフトといった具合に、ダンパーの硬さを選べるプリセット方式と、車速や路面、走行状況に合わせて、コンピュータが自動的に硬さを調整する2つのタイプがある。
メーカーとしては、リニアでシームレスな減衰力の調整が可能な後者のタイプを目指して、開発研究を進めているところだが、制御が高度になればなるほどコストがかかるという問題も……。
また、サスペンションのセッティングは、ダンパーだけで決まるのではなく、スプリングの働きも非常に大きい。したがって、ダンパーだけ可変になっても、スプリングが固定式では、どこでも乗り心地と運動性能を両立させるという夢のサスペンションは、未完成といえる。しかし可変ダンパーの可能性は大きく、究極のサスペンションに近づく大事な要素であるのは間違いない。