車両区分に超小型EVを認証する枠組みがない
一方、こうした超小型EVが実証実験だけで販売に至らなかった背景に、国土交通省のなかの車両区分に、超小型EVを認証する枠組みがなかったという現実問題もある。したがって、実証実験などで特例的にナンバーを交付する以外、一般の消費者が商品として購入し、公道を走行することができなかったのである。
そこで、国土交通省では、現在、トヨタの二人乗り超小型EVを公道で走れるようにするため、車両区分の枠組みの検討を行っている。たとえば、現行の軽自動車のさらに小型版としての位置づけとなるのか、超小型EVとして新たな枠組みが設定されるのか、検討中らしい。いずれにしても、トヨタは来年中に販売の意向をもっているし、同時にまた、高齢化社会や地方の過疎化など社会問題を含め、公共交通機関が乏しい地域で超小型EVが将来的に求められていくのは間違いなく、新たなモビリティが来年以降日本で動き出すことになるだろう。
これにあわせて、元日産リーフのチーフデザイナーを務めていた井上眞人さんがイタリアのIAADというデザイン学校で教授を務めながら開発したWeevilも、日本で走れるようになる可能性がある。前が2輪で後輪が2輪の3輪車で、後輪駆動の超小型EVだ。
もちろん、ドアもある。そして、駐車する際には、クルマから降り、車体後部に取り付けられたジョイスティックを使って、2輪車のように狭い隙間に止めることができる。運転感覚はクルマでありながら、止めるときは2輪車のように場所を取らない。
超小型EVでは、そんな新しい発想も生まれてくるのである。