イマドキは軽自動車で十分! の声もわかるけど「軽じゃ足りない」ポイントとは (2/2ページ)

軽い分どうしても衝撃には弱くなってしまう

 ただし、文字どおり軽自動車が軽いということは衝突時には不利に働く。単独での衝突安全性については軽自動車だからといって劣ることはなく、小さいボディなりにクラッシャブルゾーンを設け、空間を確保するようになっている。しかし、クルマ同士の衝突事故では物理の法則から軽いほうが弾き飛ばされてしまう。そのため、多くの事故ケースにおいて軽自動車の被害が大きくなる傾向にある。

 もっとも、3ナンバーの乗用車であっても大型トラックとの衝突では乗用車の被害が大きくなることが多いわけで、クルマ同士の衝突では軽いほうが不利というのは当然の話。そのためにコンパチビリティという考え方で、大きなクルマほど他車への攻撃性を抑えようという設計をしているが、まだまだ全車で同等の衝突安全性能を有しているというわけではない。

 乗車定員についても軽自動車は4名が上限と決まっている。どんなにキャビンが広いと感じてもそれ以上が乗ることはできないのだ。また全長が3.4mと制限されていることもあって、フル乗車で積める荷物の量も限られる。多人数乗車の必要性があるならば軽自動車は選択肢から外れるであろう。

 このように軽自動車のウィークポイントは、その規格によって制限されている部分に現われる。逆にいえば、小さいからこそ住宅街での取り回し性の良さといったストロングポイントにつながっている。

 また、冒頭で記したように、軽自動車はよく売れている。売れているジャンルは競争も激しく、開発費もかけられる。そのため、今どきの軽自動車は機能面でどんどん進化している。電動スライドドアを装備するスーパーハイトワゴンは各社から出ているし、マイルドハイブリッドや追従クルーズコントロール(ACC)といった最新テクノロジーが搭載されていることは珍しくない。日常使いにおいて不満を覚えることもないだろう。むしろ、規格で制限されていない領域においては、国内での用途に最適化しているといえるのが、最新の軽自動車なのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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