背高ボディならではの弊害や軽自動車の車格による偏見も
3)全幅が狭いわりに背が高く、高重心で操縦安定性に不満
軽自動車規格は、全幅は1.48mまでと横方向には余裕がないが、全高は2mまでと高さには余裕があるので、居住空間を広げるためには全高を高くするしかなかった。超ハイトワゴンと呼ばれるモデルは、横方向は狭いまま天地方向に大きくなったので、運動性能面で物理的に不利となる。
具体的には高速では横風に弱く、コーナリング時の安定性に欠けるのだ。軽自動車にかけられるコストのなかで、全高の高いクルマでもしっかりとした操縦安定性を確保するためにはサスペンションを硬くせざるを得なくなるという弊害も。たとえばダイハツのウェイクにはそれが見られたりする。
4)高品質化やラグジュアリー化が難しい
軽自動車に対する偏見は年々なくなっているが、なおも固定観念は根強く残っている。それは「軽自動車=低価格であるべき」というイメージだ。
軽自動車では、価格設定の限界値が200万円程度になってしまうので、高級路線を突き詰めたモデルを商品化するのが難しい。その気になれば、内外装などを超豪華な仕様とするのは簡単だが、たとえば、いかに豪華で贅沢な仕様だったとしても500万円の軽自動車はおそらくまったく売れないだろう。レクサスブランドから軽自動車が出そうな気配もない。
クルマに贅沢さやステイタス性を求める人でさえ欲しくなるような軽自動車を出すのは至難のワザだし、庶民の感覚としても値段の高い軽自動車には抵抗があるので、今のところ、プレミアムな軽自動車の需要はほとんどないと言える。ちなみにSUBARUはR1の販売不振でその現実を思い知り、軽自動車の自社生産を辞めた要因のひとつになった。
5)圧倒的にナメられやすい
軽自動車に対する偏見。これがなくなる方向に世の中が流れているのは間違いない。
しかし、それでもなお、いまだ乗ってるクルマの車格で人を判断されることはまだまだ多いのも現実だ。普通車から軽自動車に乗りかえると、煽られたり割り込まれたりする機会が激増するのを実感させられてしまうのが日本の交通の悲しい部分のひとつだろう。たまに軽自動車に乗ると、あまりのナメられっぷりに愕然としてしまい、余計なストレスとなる。