踏み間違い防止には左足ブレーキが効果的との見方もあるが……
一方で左足ブレーキを徹底したらどうか、という意見も多い。右足はアクセル、左足はブレーキと完全に分離すれば踏み間違いは起こり得ないという理屈になる。確かにそうだろう。しかし、その為にはペダルレイアウトを完全に変更する必要がある。
現在のクルマは右足でアクセルとブレーキを操作する前提で設計されているので、アクセルとブレーキペダルが近い位置にレイアウトされている。この状態で左足ブレーキをするには運転姿勢的に無理が生じる。急ブレーキが必要なときに左足がブレーキペダルから外れ落ち、制動できないことも想定される。
F1をはじめレーシングカーの多くは完全に2ペダル化され、アクセルは右足、ブレーキは左足と分けて操作するのが一般的となったが、それはブレーキペダルの位置が左足正面にレイアウトされ、しっかり踏み込めるように配置されているから可能なのだ。
また左足ブレーキでは急制動時に掛かる減速Gに身体を支える軸足がなくなるので、5点式以上のシートベルトで身体をシートにしっかり固定させ、両足はペダルコントロールに専念させることが必要だ。ペダルレイアウトは変更可能でも、5点式以上のシートベルトを一般車で常時装着させるのは不可能だろう。というわけで3点式シートベルト+快適なシートのパッケージでは、左足ブレーキ操作も推奨できない。
ペダル踏み間違い事故を減らすには、現状まずすべてのドライバーが自動車を運転することの危険性を十分に理解し、つねに真剣に操作に集中して運転するように心がけるしかないのだ。