マツダのクルマづくりにも大きく貢献する存在に
その結果、外観は初代に比べ若干大きくなったとはいえ、造形によって小型軽量に見せる手法が採り入れられ、軽量化については愚直に技術を積み重ね、エンジンも馬力を追うのではなく車両との調和のなかで軽快に運転を楽しめる範囲に収めた。
初代の志を大切に開発された4代目ロードスターは、初代の所有者からも共感を得て、初代と4代目の両方を所有する例もみられる。
このことは、マツダが将来へ向かってどのような新車を開発すべきか、独自性や個性を再認識するうえで貴重な体験になっただろう。ロードスターの事例は、ほかの車種にも当てはまることになる。たとえばGベクタリングコントロールプラスや、脊柱のS字カーブを維持できる座席、人間のバランス保持能力を最大に発揮させるヴィークルアーキテクチャーなど、人がより自然に、そして快適に運転できる技術を構築し、運転感覚や乗車感覚としてマツダの独自性を生み出している。
人を中心とした、運転者だけでなく同乗者も快適なクルマ作りの根幹にあるのがロードスターだろう。速さを極める車種はあっても、ロードスターのような基本に忠実で、根本を見つめなおさせる車種を持たない自動車メーカーに比べ、そこがマツダの強みになっていると思う。