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セダンはクルマの基本形ではない? ミニバンこそクルマの元祖である理由 (1/2ページ)

セダンはクルマの基本形ではない? ミニバンこそクルマの元祖である理由

商用車やバスなど2ボックス全盛時に3ボックスは憧れの的だった

 新しいセダンが発売されると、開発者からは「乗用車の基本形とされるセダンを復権させたい」といった言葉が聞かれる。しかしセダンが復権したことはない。なぜならミニバンこそがクルマの基本形で、セダンの時代が終わり、ミニバンが復権したからだ。

 ミニバンがクルマの基本形であることは、1930年頃までに北米などで生産されたクラシックカーを見れば明らかだ。ボディの前側にはエンジンルームがあり、その後方は箱型になる。ボディがエンジンルームと室内空間に二分割された2ボックススタイルで、後端部分は真っ直ぐに直立していた。まさに今日のミニバンそのものだ。

 そして荷物をたくさん積みたいときは、ボディの後端に荷台を装着して、旅行で使うような大きなトランクを載せた。スペアタイヤもフェンダー、あるいはボディの後端に装着した。

 1940年代に入ると「流線形」のデザイントレンドが生まれ、後部に装着した荷台とトランクが、ボディの後部に融合されていく。ここで生まれたのが、エンジンルーム/居住空間/トランクスペースに分割された3ボックスのセダンスタイルだ。居住空間の後ろ側に高さの低いトランクスペースを加えると、外観が滑らかでカッコ良く見える。実際の空力でもセダンは有利だ。

 また荷物を積むバン、コンテナ状の荷室を備えたトラック、バスなどは、車内を広く確保できる1ボックスか2ボックスの形状だ。そうなると3ボックスのセダンは、広さを重視する商用車やバスとは違う、乗用車の証明でもあった。

 そのためにバンと同じボディ形状のステーションワゴンは、1950年に発売された日産ダットサンDW-2型の時代から、日本では長年にわたり人気を得られなかった。独立したトランクスペースを備えたセダンでないと、憧れの乗用車と認められなかったからだ。

 ただし1970年代に入ると、小型車で新しい流れも生まれつつあった。1972年に発売された初代シビックは、明確なトランクスペースを備えないファストバックスタイルだが、人気車になってその後のモデルも好調に売れている。1975年には初代フォルクスワーゲンゴルフが輸入を開始して注目され、1980年に発売された5代目ファミリアも人気を高めた。乗用車の基本形は依然としてセダンであったが、コンパクトな車種を中心に、トランクスペースを備えないハッチバックも普及していった。

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