加速するクルマの電動化とも親和性の高いアイテムを多数出展
自動車用のみならず、さまざまなブレーキシステムを開発する曙ブレーキ工業。第46回東京モーターショー2019にブース出展し、最新技術や新製品を公開した。どのアイテムも、将来の電動化などを見据えた、ハイブリッドや電気自動車との親和性も高そうな、環境なども考慮した技術が盛り込まれている。
注目すべきは、今後加速する自動車の電動化に対応した、環境に配慮する新タイプの「新構造ブレーキキャリパー」だろう。流麗なデザインのキャリパー本体はアルミでできており、従来のフ
車両全体の軽量化にも貢献することになり、燃費の向上にもつながるという画期的なアイテム。ブレーキパッドの偏摩耗も、既存品と比較して約1/5程度に低減。これはブレーキパッドをキャリパー本体にきっちりと固定できるよう、ガイドなどを設けている点も大きな効果を果たしているという。
これによって、偏摩耗のみならずキーキーという「鳴き」も抑えられるという。当然、バネ下の軽量化にもつながるので、ハンドリング性能も向上。エコカーのみならず、スポーツモデルにも恩恵のあるアイテムだ。
加えて、このブレーキキャリパーにモーターギヤユニットを装着した新構造電動パーキングブレーキキャリパーも展示。対向ピストン用は外側と内側、それぞれのピストンに電動モーターを装着しなければならないが、今回は特殊な機構によりひとつのモーターでふたつのピストンを動かすことができるモーターを開発した。これにより、ホイールが装着できなくなるようなこともなく、電動パーキングブレーキの性能を享受できるようになっている。
最近では輸入車のみならず国産車、そして軽自動車にも搭載モデルが増えてきた電動パーキングブレーキにも対応するため、早い段階での実用化を期待したい製品だ。
また、これまでは難しかったというドラム式の電動パーキングブレーキも参考出展。軽自動車などを中心に、いまだに採用車種の多いドラムブレーキ。このドラムブレーキにも電動パーキングブレーキを組み込んでいる。
さらに、最適な制動力と燃費向上に貢献する低引きずりディスクブレーキキャリパーも展示。素早い制動力の立ち上げのため、パッドとローターはわずかに接触しているのだが、クリアランスが広ければ制動の立ち上がりにラグが発生してしまう。かといって、ローターに近すぎると抵抗となり、燃費が悪くなる。そこでこのキャリパーはミクロン単位でパッドとローターのクリアランスを調整することで燃費向上につながるというものだ。
このほかにも、ブレーキパッドの素材として放熱性に優れて鳴きも抑えられる銅は、アメリカで使用が規制されている。これに対応するべく、新素材を用いたブレーキパッド用摩材も開発中。加えて植物資源を用いることで、強さを引き出すなど研究・開発が続けられている。
2017年にも展示したブレーキパッドを用いず鉄粉と特殊な油で制動力を発生させるMR流体ブレーキや、中・小型トラック向けの電動パーキングブレーキなども参考出展していた。
WEC(FIA世界耐久選手権)に参戦するトヨタハイブリッドレーシングカーに搭載されたレーシングキャリパーや、ハイパワーを誇る輸入高級SUVに搭載されている10ポッドブレーキキャリパーなど、究極の制動力を追求したモデルも展示。ぜひ、ブレーキシステムの最先端をいく、曙ブレーキの最新技術を会場で体感してほしい。