アルファード&ヴェルファイアに大きな差をつけられている
国内におけるLLサイズ・ミニバン市場はトヨタが独占している。アルファード/ヴェルファイアを合計すると年間10万台規模で売っているのだ。あらためて、その数字を見るとけっして安いとはいえないアル/ヴェルが、これほど売れるだけのマーケットが存在しているのは驚きだ。とくにアルファードの人気はすさまじく、2018年度の販売台数は前年比140%を超えている。市場は、LLサイズ・ミニバンを求めている。
しかし、同じLLサイズのミニバンでも日産エルグランドに昔日の勢いはない。年間販売台数でも1万台に届かないレベルであり、かつてのライバルであったアル/ヴェルには大差をつけられている。しかし、それは仕方がないともいえる。現行アル/ヴェルのデビューは2015年1月で、2017年12月のビッグマイナーチェンジでは内外装のブラッシュアップや先進安全装備のグレードアップなどを行っている。
一方、エルグランドのデビューは2010年8月と古い。また、アル/ヴェルにはハイブリッドが用意されているが、エルグランドはコンベンショナルなエンジン車だけのラインアップだ。日本市場のユーザーニーズに応えきれているとはいえない。
とはいえ、日産のミニバンでもクラストップの売れ行きを誇るセレナでは「e-POWER」と呼ばれるハイブリッド仕様を追加設定しているなど、テコ入れをしている。あたかもエルグランドが放置されているように見えるのは、端的にいえば売れていないからといえる。売れていないから開発費が回収できない、だから大きな改良ができないという悪循環に陥っているように見える。
実際は、歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」を全グレードに標準装備するなど最新の先進安全性能を持つようアップデートしている。ハイブリッドの非設定は商品性としては弱い部分だが、メーカーとして放置しているわけではない。少なくともガソリンエンジン車で比較すれば、商品力が劣っているとは思えない。