顧客を思い車名わけは徐々に進めていこうという考えだった
3代目WRXの開発を取りまとめた森宏志氏は、次のように開発当時を振り返る。
「3代目モデルはWRCでの戦闘力向上のためにハッチバックボディを選択し、NAモデルに対するボディ拡幅の度合いも大きくしたので、WRXは3代目の最初から独立したモデルにしようという案がありました。しかし、同時に『WRX=インプ』としてイメージが広く浸透し、親しまれていることから、従来型のお客様に違和感を抱かせないためにも、車名はインプレッサWRXを踏襲。マイナーチェンジの段階で、まずはカタログからインプレッサの名をとったのです。車名わけは徐々に進めていこうという考えですね」。
3代目モデルは外観デザインの雰囲気が一変し、リヤサスのマルチリンク化などで走りの質も大きく変わったなど、何かと変化の度合いが大きかったことも、名前の変更を先送りにした背景になったようだ。
2010年7月からWRX STIのカタログにはインプレッサの名がなくなったが、型式認証などは途中で変えられないため、正式な商品名としてはインプレッサWRXのままだったという。名実ともに「WRX」と「インプレッサ」が正式に分かれたのは、4代目モデルからである。
いまだにWRXのことをインプと呼ぶ人は少なくないが、現行型のWRXとインプレッサは開発チームも開発時期も異なっており、まったく別のクルマになっているので、混同している人は、そろそろ認識を改めてほしい。