長時間運転での疲れにくさにつながる進化も!
2)三菱ekワゴン/ekクロス
上記の日産デイズの三菱版がekワゴン/ekクロスだ。その進化も目を見張るものがあり、デイズの標準車/カスタム系のハイウェイスターという布陣に対して、ekシリーズでは標準車に加え、三菱らしいクロスオーバースタイルのekクロスを新設定。最低地上高は変わらないものの、SUV感覚、アウトドアテイスト満点。基本部分はデイズとまったく同じだが、注目すべき進化は、日産のプロパイロットをMI(マイ)パイロットとして新設定しているところ(SOSコールは設定なし)。
しかも、デイズのプロパイロットはハイウェイスターのみの設定だが、ekシリーズではekクロスはもちろん、標準車にも設定されているところがポイント。SOSコールまではいらない、しかし標準車で高速道路同一車線半自動運転機能を使いたいというなら、ekシリーズの選択となる。標準車にもそうした先進運転支援機能を用意したところに、ekシリーズの大きな進化があると言っていいだろう。ただし、4WDはリヤサスの違いから、乗り心地面でやや不利になるところは要改良点と思える(デイズも同様)。
3)ホンダN-WGN
2019年秋、派手ではないが、静かなるインパクトを与えてくれた軽自動車がホンダN-WGNだ。これまで日本でもっとも売れているクルマ=N-BOXの陰に隠れていた存在だったが、現行N-BOXと同じNシリーズ第二世代プラットフォーム、エンジン、CVTといった基本部分をそっくり受け継ぎつつも、走行性能のベンチマークは世界基準のコンパクトカー、VWポロ(先代)という、走行性能にもこだわりまくったハイト系ワゴンなのである。何しろホンダの軽自動車で初めて、ホンダのレーシングカーの開発も行われる最新のHRD SAKURAの風洞実験室で空力性能を開発。
さらにジェイドRSやヴェゼルRSのCVTに使われている、約40km/h以上で作動するブレーキ制御ステップダウンシフトやリニアな加速感をもたらすGデザインシフトの採用から、より安定方向に振られたAHA=アジャイルハンドリングアシスト、新制御ロジックの電子制御パワーステアリング、フロントサスペンションのサイドフォースキャンセリングスプリング、ブレーキのコントロール性がより快適に行えるリンク式ペダルなど、ホンダ最新の高度な技術を惜しみなく投入しているのだからすごい!
しかも、ステアリングにはチルト機構に加え、テレスコピック機構をホンダ軽として初採用。シートのハイト調整幅の拡大もあって、小柄な人から大柄な人まで、より最適で自然なドライビングポジションが取れるようになったのも、運転のしやすさ、長時間の運転での疲れにくさに直結する大きな進化と言っていい。
動力性能はNAでも街中、高速走行を含め十二分だが、ターボになれば、デイズ/ekシリーズ同様、フル乗車、高速道路の長時間走行、登坂路でも文句なし。1.3リッター級のコンパクトカーに肩を並べるほど。上質な乗り心地を含む、全体的な走りの質感の高さはハンパなく、大げさに言えば、フィットいらず! の商品力を持っているほどだ。
そうそう、全グレード標準! のホンダセンシングに含まれる、N-BOXで軽自動車初採用のACC(アダプティブクルーズコントロール)は、ついに渋滞追従型となり、作動速度域はデイズ/ekシリーズのプロパイロット/MIパイロットの0~110km/hに対して135km/hまでと余裕がある。
なお、デイズの日産コネクトナビのようにSIM(専用通信機)は現時点でないものの、専用ギャザズナビ+スマホ接続によって、オペレーターサービスも利用可能だ。軽自動車もいまやコネクティッドサービスがあるのが当然。“つながる”クルマになってきたのである。
というわけで、軽自動車にダウンサイジングしたい人を含め、軽自動車は今が狙いどき。ただし、スーパーハイト系まで視野に入れるのであれば、新型日産デイズルークス、三菱ekスペースの登場を待ってもいい。その頃には、ホンダN-BOXもさらなる進化(走行性能やACCなど)を遂げているはずだ。