テスラも富裕層がファッション感覚で選んでいるだけ?
ロサンゼルス国際空港に降り立ち、レンタカーを借りて道路にいざ出ると、通り沿いのガソリンスタンドの価格表示を見て、今年1月に訪れた時よりもかなり高くなっていたのに驚いた。調べた時のロサンゼルス地域の1ガロン(約3.8リットル)あたりのレギュラーガソリンの平均価格は4ドル22セント(約451円)なので、リッター換算すると約118円となった。
1月は3ドル後半代が一般的だったので、その値上がり幅にも驚いた。地元テレビニュースによると、高い所では1ガロンあたり5ドル(リッター当たり約140円)を超えているというから、日本とそんなに変わらないスタンドもあることになる。
地元で話を聞くと、今年の春ごろからガソリン価格が上昇を始めたそうだ。なぜそうなったのか理由は定かではないようだが、いまは一時期よりは落ち着いているとのこと。ここ最近は中東情勢の不安定な状況も影響しているようだ。
ここで以前聞いた話を思い出した。ガソリン価格が1ガロン当たり4ドルを超えると、かなりの勢いでハイブリッド車が売れ出すというもの。そこで現地の新車販売事情通に実際はどうなのか聞いてみると……、「確かに以前はガソリン価格が際立って上昇すると、トヨタ・プリウスなどのハイブリッド車がよく売れました。しかし今回は高値状況となってもハイブリッドなどのエコカーへの代替えは目立って増えていません。それよりか相変わらず大排気量のピックアップトラックやSUVがよく売れています」とのことであった。
どうしてエコカーが注目されないのかというと、依然として好調の続くアメリカ経済があるとのこと。日本の報道を見ていると、「アメリカ経済も息切れが見えてきた」など、景気が後退局面にあるようなものが目立つが、ロサンゼルス市中心部でかつては治安の悪い地域にはいま、タワーマンションが何棟も建つ再開発が進んでいるし、郊外に足を伸ばせば住宅建設も相変わらず積極的に行われている。
つまり、まだまだ好景気が続いているのである。かつてガソリン価格高騰の時期にハイブリッド車への代替えが目立ったときは、景気状況はいまのような好調な状況ではなかったので、雇用や所得が不安定でもあり、ガソリン価格高騰が家計を直撃するような状況であった。いまはガソリン価格は上がったが、雇用や所得も安定しており、極端にガソリン価格高騰を意識する消費者が少ないため“エコカー特需”が発生していないようである。