温度を下げるとコンプレッサーの可動量が増える
その昔あったクーラーは、ただ冷たい風を送り出しているだけで、温度調節はコンプレッサーのオンオフで行なっていた。一方、エアコンは冷風(クーラー)と温風(ヒーター)をミックスして室内温度を絶妙に制御しているのが特徴だ。そうなると冷風は一定の温度で、さらに一定の量が作り出されているように思うかもしれないが、実際はそんな単純なものではなく、コンプレッサーの間断も設定温度によって違ってくる。
エアコンの温度設定を下げるとそれだけ冷気がたくさん必要になるので、コンプレッサーの可動量は増えるし、設定温度を上げれば減る。もちろんコンプレッサーの可動は今も昔もエンジンから動力を取り出して使っているので、燃費に直結する。つまり温度を下げれば、燃費は悪くなる。
家庭やオフィスで使われているエアコンも仕組みは同じで、たとえばクールビズで28度設定にしている理由のひとつが「快適さとエアコンへの負担(消費電力)とのバランス」。負担というのは冷気を生み出すためのもので、温度を上げることで省エネにつながるということだ。
クルマではコンプレッサーの進化によってオンにしたときの負担は減っているが、それでも燃費に悪影響を及ぼすのには変わりない。無駄に温度を下げることなく、内気循環をうまく使ったり、リヤにはシェイドを付けるなど、工夫をすることでコンプレッサーの負担を緩和することが大切だ。
そういう意味ではオートをうまく使い、こまめに設定温度を体感などによって変えるようにする。暑い、寒いを我慢するのは無駄なのだが、これまた最近言われるように省エネにこだわるあまり我慢して熱中症になるというのは、クルマでもありうるので注意が必要だ。