電動化の流れがあるいまディーゼルに手を出す必要はない
一方、日本はそうした都市部への乗り入れ禁止など消費者が直面するディーゼル規制が顕著ではなく、ディーゼル車への嫌悪感もマツダのディーゼル車投入により薄まり、ディーゼル車がひとつの流行となっている。そして欧州で売れ行きの鈍ったディーゼル車を、日本でさばいているといえなくもない。
しかし、人口が密集する傾向の強い日本の都市部でのディーゼル車の増加は、再度の大気汚染の予兆を上空にもたらしている。それは、ディーゼルに限らず、直噴のガソリンエンジンも粒子状物質(PM)規制の対象になっており、ガソリンであろうとディーゼルであろうと大気汚染を促す可能性を秘めた状況となっているのである。
そもそも日本は、長距離移動するなら、排ガスゼロの鉄道で十分という社会基盤が大都市を中心に整っている。単なる流行で大型SUVのディーゼル車を都市部で乗りまわすことは、自らの住まいの環境を悪化させることにつながりかねない。ハイブリッド車の普及で、日本の消費者はかえって環境問題の深刻さに鈍感になっている。
いずれ、電動化の時代を迎える。なおかつ、ディーゼルと電動化の組み合わせは一層の原価上昇をもたらす懸念もある。すでにハイブリッド車を十分に開発し、商品を揃えている日本の自動車メーカーに、ディーゼルに力を入れる必然性はあまりないといえる。