電気自動車の「規格」に影響を及ぼす世界的な問題
前向き駐車vsバック駐車は、思わぬところで大きな課題になった。それは、EV(電気自動車)の非接触充電の規格を決める際のこと。非接触充電とは、地面側とクルマ側が直接触れることなく、電磁誘導などの物理現象を用いて充電を行うシステムを指す。
EVなど自動車に関する技術の標準化で、世界で主導的な立場にある米自動車技術会(SAE)では、10年ほど前から非接触充電についても規格化を進めてきた。課題となったのは、クルマ側の受信機材の位置だ。
アメリカの自動車メーカーは、クルマを真横から見た際の中心線より前側、エンジンの少し後側に設置することを求めた。なぜならば、アメリカの一般住宅では、前向き駐車が一般的だからだ。
一方、日系メーカーはクルマの後方の設置を求めた。なぜならば、バック駐車が多いからだ。結局この話、アメリカ側の意見が優先して決着した、という経緯がある。世界的には「前向き駐車が常識」と言わんばかり。
前向き駐車vsバック駐車の議論はその他の領域でも今後、課題として取り上がれることがあるかもしれない。