ネット上でボッタクリとの声も! 中古車は買い取り額にいくら上乗せして売られているのか (2/2ページ)

「在庫リスク」により販売価格と買い取り額に差が生まれる

 そもそも商売は水物で、仕入れたクルマはいつ売れるかわからないのは、利益に余裕を持たせなければならない理由として一番大きいかもしれない。つまり在庫リスクで、すぐにオークションに流すにしても、同様のコストはかかる。また業者オークションによって相場ががっちりとできてしまっているので、売るときも買うときも掘り出し物的に高値が付くこともない。

 在庫リスクについて簡単に紹介すると、100万円の利益があったとすると、1カ月であればそのまま100万円。2カ月なら1カ月あたりの利益は半分の50万円で、3カ月なら約33万円にしかならない。ここから上記のさまざまなコストのうち、毎月かかるものを払う必要がある。そのまま売れなかったら、利益を乗せるもなにも、買い取り額も含めて丸損になるだけ。だから、販売価格と買い取り額の差はけっこう大きくて当たり前だ。

 じつはこの仕組みは何でも一緒で、利益が乗せられるからこそ、流通するし、関わる人たちは食べていける。例の芸人の取り分問題も同様で、面倒を見てくれる分、関わる人たちすべてのコストが引かれるから、ほぼすべて自分のものにはならない。ちなみに芸人も含めた芸能人の収入の場合、だいたい6割というのが相場だ。

 どんなジャンルにしても、その分を払うのがイヤとか、もっと高く売りたいというなら、産地直送。クルマの場合なら、個人売買やネットオークションなどで直接取引するしかない。売る方は買い取りに出すよりは高く売れるかもしれないが、手続きなどのやり取りは自分で行なうのが基本だけに手間はかかるし、いつ売れるかもわからない。

 買う場合もオーナーから直接買えばいいが、現状販売が基本で内容についてのリスクがあるし、整備などは自分でしなくてはならないこともある。万が一トラブルになっても、クレームを出すところも基本はない。ショップで買ったからクレームをすべて聞いてくれるとは限らないが、安心感があるのは確かだ。

 買い取り額と販売額の差というのは、売る方、買う方双方にとって保険的な意味もあると言っていい。闇雲にぼったくりなどと思う前に冷静に考えてみよう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
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遠藤ミチロウ、岡江久美子

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