公道でもエンジンの負荷が減り燃費が向上する!
モータースポーツファンには、おなじみのスリップストリーム。高速で走っているクルマには、空気の壁が大きな抵抗となって立ち塞がる。その空気の抵抗力は、速度の二乗に比例するので、速度が高くなればなるほど、空気抵抗は大きくなり、160㎞/hを超えると、クルマにかかる抵抗力の9割ほどが空気抵抗になってくる。
そのため、レースではトップのクルマがその空気の壁をかき分ける役になり、そのクルマのすぐ後ろには、空気圧の低いスペースができあがる。後続車が前走車に接近し、上手くそのスペースに入ると、空気抵抗は軽減し、さらに前走車が作った空気の渦によって、後続車が引き寄せられる力まで得られるので、オーバーテイクがしやすくなる。これがいわゆるスリップストリーム。最近のF1のレース中継でよく話題になる「トウ」とは、この スリップストリームで得られる空力的アドバンテージのことを指す。
そうしたスリップストリーム、レースではなく公道を走るクルマでも、ある程度の恩恵は受けられる。単独ではなく、前のクルマにくっついて走っている場合、レーシングカーと同じように空気抵抗が減ることで、同じ速度をより低い回転数で走れるようになり、エンジンの負荷が減るので、燃費もかなり向上する。
風よけになるクルマは、車体が大きく、前投影面積が大きければ大きいほど、後続車のスリップストリームの効果が増すので、高速道路でも大型バスや大型トラックを追走したときには、その効果が実感できるはず。