普段乗りで駆動方式の違いを感じることはあまりない
クルマの駆動方式というと、FF、FR、4WDが一般的で、その他、スポーツカーなど一部のクルマにMRやRRというレイアウトが用意されている。乗用車に限っていえば、大半がFFもしくはFFベースの4WDで、FRもかなり少数派となってしまった。
FFが主流になったのは、室内空間が広くとれて、生産効率もよく、車体の軽量化につながるといったメリットがあるからだが、基本的な特性はともかくとして、このFF、FR、4WDの3つを、クルマにさほど興味がない人が、一般道で乗り比べたときに、操縦性の違いを感じ取ることはできるのだろうか?
「それはもちろんわかるはず。なんといってもFRは操舵輪と駆動輪が別々なのだから、操縦性は高いし、コーナリングの気持ちの良さはFRが一番!」といいたいところだが、実際のところ、普段乗りで駆動方式による操縦性の違い、乗り味の違いを意識することはほとんどない。
どうして違いがわからないかというと、まずFFもFRも4WDも、フロントにエンジンを積んでいるから。MRやRRのようにエンジンが運転席より後ろにあれば、フロントまわりが軽いので、小さな力で向きが変わりやすく、誰でも違いがわかるだろう。しかしフロントエンジン同士では、操縦性も直進安定性も大差はない。
もちろん、4WDは高速安定性が抜群だし、FFも直進性がいいのが長所なのだが、高速道路で100㎞/hぐらいで走ったとしても、路面が乾いていて、風も強くなければ、FRのクルマだって直進性に不安を感じることはありえない。
反対に、FFや4WDはアンダーステア傾向といわれていても、タイヤやボディ、サスペンションの進歩もあって、法定速度内で走っているときに、「曲がらない」と感じるようなFF、4WDはいまどきない。
むしろ、FRだからといってとくにコーナリング性能にアドバンテージがあるわけでなく、前後の重量配分に優れ、FRのメリットにこだわったBMWやロードスターなどの一部を除けば、FRに勝るとも劣らぬハンドリングのいい、スポーティーなFF、4WDはいくらでもある。