ボア×ストロークが違えばピストンの速度が同じでも回転数が異なる
そのうえで、ショートストロークの設計を選べば、ピストンの往復距離が短くなるので、同じピストン速度の限界であっても回転をより高くすることができる。そこで、スポーツカーやレーシングカーなどのエンジンはショートストロークを選ぶ場合が多い。逆にロングストロークの設計では、ピストンの往復距離が長くなるため最高回転数は低くならざるを得ない。
ほかに、同じ排気量2000ccでも6気筒エンジンであれば、1気筒の排気量が約333ccと小さくなるので、ボアもストロークもより小さな数値になるから、エンジン回転数を高くすることができる。
以上はしかし、計算上の話であり、シリンダー内を往復するピストンによる摩擦損失や、エンジンを稼働させるうえでのバルブ駆動、クランクでの回転に際しての摩擦抵抗も生じる。それら周辺の機構による部品点数の違いなどを含め、耐久性なども考慮しつつエンジン回転数は定まってくるので、単に数字上の計算だけで回るエンジンと回らないエンジンを語るのは難しい。
とはいえ、エンジン回転のよく回るとか回らないに対する一つの指標として、ピストン速度の限界が関係していることは興味深いことではないだろうか。