メルケル政権には自動車産業と密接な関係アリ!?
報道によると、フランクフルトショーのプレスデー初日には、会場前で環境保護団体のグリーンピースが、「SUVは地球環境に良くないため、販売やラインアップ強化をやめ、環境負荷低減に効果を発揮する、ピュアEVの低価格化やラインアップ強化をすべき」との抗議活動を行っていたとのこと。前回のフランクフルトショーでも、恐らくグリーンピースと思われる環境保護団体が会場前で抗議活動を行っていた。
自動車への風当たりは、単に地球環境保護という崇高なものだけで行われていないのが事態をやっかいなものにしている。ドイツのメルケル政権は自動車産業と密接な関係があるとされ、敵対勢力が一連のディーゼル不正に端を発した自動車産業への風当たりを政局に利用しているとされており、これが自動車への風当たりの強さを助長しているともいわれている。
ここからは私見となるが、自動車への風当たりが政局にまで利用されているとすれば、ドイツ系メーカーがこのような動きを嫌がり、日本的にいえば「自粛(縮小展示など)」を行ったというようにも見えてくる。プレスカンファレンスでも、たとえばBMWではカンファレンスのスピーチにおいて、ことさら電動車の普及目標などに主眼を置いた(かなり無理があるとの声もあがっている)スピーチを行ったが、発表モデルのメインは次期4シリーズを想定したコンセプトカーであり、会場では今回発表したM8や新型X6が注目を浴びていた。
メルセデスベンツでもGLCやCLA、GLBなどをベースとしたAMGモデルのリリースが目立っていた。VWはピュアEVのID.3をワールドプレミアさせ、展示ブースもピュアEVをメインとしたエコカーのみとしており、カンファレンススピーチも合わせて唯一整合性がとれていた。ただ、アウディは床置きながら新型RS7の注目度が並々ならぬものとなっていた。
表向きは「ピュアEVの普及に積極的に取り組んでいます」イメージをことさら強調するが、展示車は各ブランド自慢のハイパフォーマンスモデルが目立つミスマッチは前回のフランクフルトショーでも感じた。もちろんハイパフォーマンスモデルとはいえ、環境負荷低減を進めるための対応には取り組んでいるのだが、メーカーの本音はハイパフォーマンスモデルの販促にあるのではないかと感じた。しかしそれを素直にアピールできない「はがゆさ」がフランクフルトショーにあるとすれば、今回の出展メーカー激減は仕方のないことなのかもしれないし、ある意味フランクフルトショーの「終わりの始まり」を示唆しているようにも見えた。