中身はよくても伝わらない! 時代に恵まれず販売不振に陥った悲運のクルマ5選 (2/2ページ)

日本ではイマイチでも海外でウケているモデルも存在!

3)ホンダ・アコード(8代目モデル・2008年登場)

 アコードは歴代シビックやCR-Vと並ぶ、世界的に見ればホンダにとって大黒柱となる1台である。2008年登場の8代目モデルは4ドアセダンと、ツアラーと命名されたステーションワゴンを持つ。とくに4ドアセダンは、一見現在のカムリやレガシィB4のようなアメリカや中国などアジア圏向けのサイズの大きいモデルである。

 しかし乗ってみると、この世代のアコードはホンダの高級ブランドであるアキュラのTSXを日本向けに仕立てたモデルだったこともあり、乗り心地や静粛性に代表される各部のクオリティは「当時のレクサスより上ではないか」と感じるほど高く、その割に価格は300万円程度と、今になるとお買い得なクルマでもあった。

 しかし内容の良さがまったくユーザーに伝わらず「単に大きなクルマ」と認識されてしまったことや、6代目と7代目のアコードで、ニッチなファンがいたスポーツモデルのユーロRがなくなってしまったのもあり(これはボディサイズの拡大などを考えればやむを得ないところではあるが)、浮上することなく9代目モデルにフルモデルチェンジされた。

4)スバル・エクシーガ(2008年登場)

 スバルは1990年代まで軽自動車のサンバーの乗用仕様を拡大したドミンゴ、2000年代初めに当時GMと資本関係にあったこともありGMグループにあったオペルザフィーラをスバル向けに手直ししたトラヴィックがあったくらいで、3列シートを持つミニバンには熱心ではないメーカーだった。

 その流れを断ち切ったのがエクシーガである。エクシーガはデビューの翌年に登場した5代目レガシィのツーリングワゴンの全高を上げてミニバンにしたような成り立ちで、ミニバンにしては全高を低くした3代目と4代目のホンダオデッセイに近いモデルだった。

 エクシーガはステーションワゴンに近いミニバンながらシッカリ使える3列シートを持ち、FF車も設定。価格もリーズナブルで、スバルらしいターボ車も設定するなど、完成度の高いモデルであった。しかし販売成績は途中エンジンバリエーションやアイサイトの追加、最後はクルマ自体を最低地上高を若干上げたクロスオーバー7に移行するなどテコ入れも懸命に行ったものの、平凡に終わった。

 エクシーガの販売が振るわなかったのは、登場した時点でミニバンの流れがスライドドアを持つ全高の高いものに移っており、エクシーガや3代目と4代目のオデッセイのようなヒンジドアのミニバンに対する需要自体が少なくなっていたことに尽きる。いろいろ難しい部分もあるようだが、アメリカ専売の3列シートを持つSUVであるアセントを日本にも導入し、エクシーガの無念を果たして欲しいところだ。

5)スズキ・キザシ(2009年登場)

 キザシはスズキが今のところ社史唯一となるカムリやレガシィB4をターゲットに北米やアジア圏向けに投入した4ドアセダンである。登場時から注文が入ってから生産する完全受注生産だったことから大量販売する気はないクルマにも見えた。しかし乗ってみれば細部の熟成不足はあったものの、はじめてつくったこのサイズのクルマにしては望外の完成度を持つクルマで「育てていけばいいクルマになりそう」と感じたものだった。

 だがスズキというメーカーにこのクラスのクルマのイメージがまったくないことが致命傷になりキザシはまったく売れず、販売期間の終盤は捜査用覆面パトカーとしての販売が中心になり、絶版となった。

 こういったクルマはピックアップした5台以外にも探してみると意外にあるもので、人気がなかっただけに中古車なら人気車より安いということも多々ある。そんなクルマだが、クルマ自体に大きな問題があることは少なく、こういったクルマを実用に割り切って使ったり、大切に乗るというのも「お金は掛けずに豊かなカーライフを送る方法」としてはなかなか面白い。


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