踏み間違いの引き金になるとの意見も! アクセルよりもブレーキペダルが手前にある理由 (2/2ページ)

ブレーキペダルの床付きは絶対にNG!

 このあたり、完全にバイワイヤになってくると事情は変わってくるが、エンストしたときでもクルマを停止させるだけの制動力を発生させなくてはいけない現在の仕様においては、ブレーキペダルのストロークは長くなりがちであり、目一杯踏み込んだ状態でもペダルが床付きしないこと(床付きすると、それ以上液圧が上がらなくなる)を考慮するとアクセルと段差が生まれるのは致し方ないともいえる。

 また、かつては市販スポーツカーにおいて「ヒール・アンド・トゥ」をしやすいように、設計段階でペダルの段差を調整しているという話もあった。ヒール・アンド・トゥとはブレーキを踏み込んだ状態でアクセルペダルを操作して、エンジン回転を合わせてスムースにシフトダウンさせるというテクニックだ。

 右足でブレーキペダルを踏みながら、かかとのあたりでアクセルペダルを操作するには、ブレーキペダルを踏み込んだ状態でブレーキとアクセルのペダル高さが合っていると操作しやすいといえる。つまりブレーキペダルを手前に持ってくるほうがスポーツドライビングを楽しみやすいのだ。

 とはいえ、昨今のクルマにおけるペダルレイアウトを見ると、明確にアクセルとブレーキに段差を設けている傾向が強い。あくまでも踏み間違いを防ぐための段差であると理解するのが妥当といえる。

 かつてはかかとを床につけて、足首を動かして左右のペダルを選択するという操作をするドライバーが多かったが、現在はブレーキを踏むときにはしっかりと意識して膝から動かすドライビングがスタンダードとなりつつあるということだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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