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レーシングドライバーが語る! 理論に基づいた本当に燃費を稼げるエコドライブとは (2/2ページ)

レーシングドライバーが語る! 理論に基づいた本当に燃費を稼げるエコドライブとは

エンジン特性をよく知ることで燃費は向上できる!

 環境問題はもちろんだが、経済性からも燃費を向上させるのは必須だ。しかし、だからといって「フワッとアクセル」とか「ゆっくり加速」といった、とにかく速度を上げずにゆっくり走ればいいという視点だけでは、クルマ好きにはストレスが溜まるばかりだろう。

 ハイブリッド車やディーゼルなど普通に使っていても燃費は良くなっているが、スポーツカーでも燃費良く走りたい。1円でも安いガソリンスタンドを探してウロウロするより、ドライビングテクニックで1km/L伸ばせれば試したくなるはずだ。それもただ速度を落とすだけではなく、走りを楽しみ、実感しながら達成できるなら幸いなはずだ。

 じつはモータースポーツの世界でも燃費は重要なテーマだといえる。二酸化炭素の排出を抑えるという大義名分はさておいても、燃費よく速く走ることは重要なのだ。たとえばル・マン24時間という世界的に有名なフランスでの耐久レースがある。このレースでは同じラップタイムで走れても燃費のいい走りができるドライバーのほうが優遇される。

 なぜなら約1時間ごとに走行し、ピットで給油してまた走るというスティントで作戦が組まれるが、満タンスタートで10周しか走れないドライビングスタイルのドライバーと、同じ速さでも11周、12周と多く走れるドライバーがいるなら、燃費のいい走りができるドライバーで多くのスティントを担当させたほうがトータルで1〜2回のピットイン、給油回数、給油量がセーブできよりよい成績がだせることに繋がるからだ。いくら速く走れても、1回ピットインおよび給油回数が増えてしまったら勝機がなくなってしまう。

 またF1のようにレース中に給油せずスプリント(といっても300kmも走るのだが)で速さを競うレースの場合、燃費のいいドライバーはスタート時点の燃料搭載量を少なくして決勝に臨める。ベルギーのスパ・フランコルシャンや日本の鈴鹿サーキットのように高速で平均速度が200km/hを超えるようなコースでは「フューエルエフェクト」といって搭載燃料量が走行タイムに与える影響が大きい。ガソリン10リッターで約9kg。これだけで1周のラップタイムに与える影響はコンマ5秒以上となり、コンマ1秒を争うF1では無視できない大きさとなるのだ。

 そこで燃費よく、かつ速く走るにはどの様なテクニックが有効なのかを考えてみよう。

 燃費を良くするには効率が大切だ。その為にはエンジンを効率よく使い、走行抵抗を少なくするように走る。たとえば最大トルクが3000〜5000回転、最高出力は8000回転で発揮されるような場合、コーナーからの立ち上がりでは3000〜5000回転で加速できるようなギヤを選択し、ストレートなど最高速付近では8000回転まで引っ張るようにする。100Rのコーナーを4速8000回転で走るなら、同じ速度で5〜6速を使い5000回転で走ることを選択する。同じ距離を走るのだからその間に回っているエンジンの回転数が少ないほうが燃費が良くなるのは明白だ。

 またシフトアップやダウンの際に、マニュアルクラッチ車の場合、アクセルを全閉にしてクラッチを切りシフトチェンジしてからまたアクセルを踏み込むのが一般的だが、アクセルを踏んだり戻したりする行為は燃料を無駄にシリンダーへ送り込むスイッチとなっていて、燃費上好ましくない。

 またガソリンエンジンの場合、インテークマニホールドという筒状の空気流路を吸気エアが高速で流れている。アクセルをオフにすると、この流れが休止してインテークマニホールドのなかの吸気の流れが淀む。そしてアクセルを踏み込むとまた流れだすが、吸気エアにも慣性力が働いていて、すぐには元どおりの流れにならずシリンダーに流れ込む吸気エアが理想的なタンブル(渦)を形成できない。それでノッキングが起こり点火時期がリタード(遅角)され、パワーを引き出せずに効率が悪化する、という悪い流れが起こってしまうのだ。

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