新車が売れなくなってきた中国でハイブリッド車が優遇される可能性
ここのところ、新聞報道に端を発し中国政府のNEV(ニュー・エナジー・ビークル/新エネルギー車/新能源車)規制が見直され、HEV(ハイブリッド・エナジー・ビークル)が優遇されるのではないか、そして日本車にとっては追い風となるのではないかと話題となっている。
中国のNEV規制において、現在優遇されているのはFCHV(燃料電池車)、BEV(純電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)となっている。とくに中国国内では、世界に類を見ないペースでBEVの普及が進んでいるにはすでに有名な話。そこには市街地近くの工場を半強制的に移転させ、そこにはもともと工業用電力の供給インフラがあるので、その跡地を広大な充電ステーションを作っているという話もあり、“一党独裁”という政治体制下ならではのスピード感のある政策実行力のなせる技ともされている。
もともとNEV規制導入の背景には、環境問題の側面以外にも、NEVで既存の欧米、日本、韓国などの自動車メーカーより優位に立とうとか、NEVの普及による原油輸入量の増加を抑制していきたいといった狙いがあり、むしろこれらのほうが大きいとされている。
とはいっても、販売台数としては全新車販売台数に占めるNEVの販売比率は7%強となっている。北京や上海、広州市内ではNEVが頻繁に走っているのを見かける(ナンバープレートが専用なのですぐわかる)し、BEVの路線バスやタクシーも急速に普及している。しかし上海に限って言えば、地元上海汽車がPHEVに力を入れていることもあるのか、NEVでもPHEVを比較的多く見かける。ただ同じ車種のPHEVが多く、しかもライドシェア営業を行っているらしきクルマばかりだったのが気になった。
沿岸部大都市のみならず、武漢など内陸の中核都市でもNEVは急速な普及を見せているが、まだまだ本格普及というレベルまではいっていないのが実状だ。
NEVの普及に重きを置いていた政府だが、その前に新車販売市場の冷え込みのほうが顕在化してしまった。0%金利ローンなどはもはや当たり前となっても一向に改善を見せないので、新車販売市場の活性化という意味でもHEVが優遇車両の対象となる意味が大きいのかもしれない。