最近スポーツモデルが続々4WD化するなか軽自動車には4WDスポーツが存在しないワケ (2/2ページ)

軽自動車で重視されてきたのはスポーツ性より実用性と価格

 軽自動車はそもそも安くなくては意味がないと思われてきた。庶民の足として日本独自の発展を遂げてきたなかでスポーツ性より実用性と価格の安さが最重要視されてきたのだ。初代アルトが新車価格47万円に設定された時は大きな話題となった。

 4WDシステムを採用すればトランスファーやデファレンシャルなどコストのかかるパーツを多く使用しなければならず、重量も増し燃費も悪化してしまう。現代でも軽自動車規格の自主規制化では660ccの排気量でターボを装着しても64馬力以下とされていて、高度な4WDシステムを必要とするほどの動力性能を持たされていないのだ。

  

 唯一クロカン走行用の副変速機機能付きパートタイム4WDシステムはジムニーで継承されるが、ほとんどは雪道対応など生活用の4駆としてビスカスカップリングや電磁クラッチを採用するシンプルなオンデマンド4WDシステムを搭載するのが関の山といえる。

  

 S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)を提唱している三菱でさえ軽自動車にはAYCもACDも装着せず生活4駆のみの設定としているわけだ。ABS(アンチブレーキロックシステム)やTCが備われば軽自動車には十分という考えがメーカーにもユーザーにも浸透しており、それゆえ軽に4WDスポーツが存在しない理由になっている。

 4WD推奨派の僕も、それで必要十分と考えていて都会に住んでいるなら2WDを選択するだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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