いまのクルマのデザインには合わない!
それでもフェンダーミラーが消えたということは、要するに需要がなかったということ。割高で、しかも選ぶ人がいなければ、メーカーもわざわざ作るわけがない。実際、いまのクルマにフェンダーミラーをつけるとなると、明らかにデザイン的にミスマッチで、それをあえて選ぶ人はよほどフェンダーミラーにこだわりがある人だけ。当然かなりの少数派だろう。
かつては初代のホンダ・シティのように、フェンダーミラーのあのステーの長さが、魅力的なデザイン要素になったクルマもあったが、あれは例外。
オーテック・ザガート・ステルビオのように特殊なフェンダーミラーを持ったクルマもあったが、あそこまで凝ったフェンダーミラーをつけても……。
ではなぜタクシーだけはフェンダーミラーが残っているのか。これも諸説あるが、タクシーの場合、屋根の上にのっている「行灯」(あんどん=社名表示灯)とともに、フェンダーミラーがタクシーのシンボルになっていることが大きいからだ。
余談だが、フェンダーミラーのほうが視認性がいいと言われているが、バブルの頃のタクシーは運転が荒いドライバーが多く、その頃、バイクに乗っていたライダーは、お客を見つけたタクシーに幅寄せされ、ヒヤッとした経験が多い。そうした経験から、フェンダーミラーは視認性がいいと言われても、いまひとつ信用しきれない元ライダーも少なくない……。