中身は良くてもトップになれない! 残念すぎる2番手クルマ5選とその理由 (2/2ページ)

クルマの本質「走り」はいいのに売れない悲劇

3)ミニバン:ホンダ・オデッセイ

 ミニバンで絶好調に売れるのは、Lサイズではトヨタのアルファード&ヴェルファイアだ。2019年1〜6月の登録台数を1か月平均にすると、アルファードは5878台、ヴェルファイアは3460台になる。ライバル車のホンダ・オデッセイは1315台だから圧倒的に少ない。

 オデッセイが売れない理由は、全高が1685mm(アブソルート)で、アルファード&ヴェルファイアの1935mmに比べると250mmも低いからだ。オデッセイは外観の存在感が弱く、インパネなど内装の豪華さでも見劣りする。そこで販売合戦に負けた。

 しかしミニバンの機能はオデッセイが勝る。オデッセイの全高は250mm低いが、床の位置も下げたから室内高は75mmしか違わない。乗降性も良い。

 しかも3列目に座ると、アルファード&ヴェルファイアでは床と座面の間隔が不足して足を前側に投げ出すが、オデッセイなら自然な姿勢で座れる。従って6名乗車時の居住性もオデッセイが勝る。

 さらに低重心だから走行安定性も良好だ。見栄で選ぶならアルファード&ヴェルファイアだが、機能ならオデッセイに断然注目したい。

4)コンパクトカー:マツダ・マツダ2

 コンパクトカーの売れ筋は、e-POWERの日産ノート、トヨタ・アクア、ホンダ・フィットなどだ。マツダ・マツダ2は上位に入らない。

 その理由は実用性が低いからだ。ノートやフィットに比べると車内が狭い。とくにフィットは、燃料タンクを前席の下に搭載して荷室容量と後席の足もと空間を広げたから、マツダ2はファミリーカーの機能で大幅に見劣りする。今のマツダのブランドイメージがスポーティ指向になり、コンパクトカーに合わなくなったことも影響した。

 その代わり走行性能はマツダ2が優れている。低重心で安定性が良く、スポーティな走りを味わえる。クリーンディーゼルターボは駆動力が高く、ガソリンエンジンは排気量が1.5リッターに拡大され、吹き上がりが自然な印象で扱いやすい。クルマ好きに適する貴重なコンパクトカーとなった。

5)軽自動車:スズキ・ワゴンR

 今の軽自動車は、ホンダN-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タントなど、全高が1700mmを上まわるスライドドアを装着した車種が人気だ。

 しかし1995年から2010年まで、軽自動車の年間最多販売車種は、ほぼ一貫してスズキ・ワゴンRだった。流れが変わったのは2011年で、先代N-BOXが広い室内とミニバン的なシートアレンジで注目され、軽自動車の主力になっている。N-BOXに比べると、ワゴンRは旧態依然とした印象に見えてしまう。2014年には先代ワゴンRと基本部分を共通化するハスラーも発売され、ワゴンRの需要はさらに奪われた。

 しかしワゴンRでも4名乗車は十分に快適で、荷室も広い。シートアレンジはスペーシア並みに多彩だ。

 そしてスペーシアなどに比べると、天井が低くボディも軽いから、走行性能や燃費も優れている。価格は割安だ。多くのユーザーにとって、全高が1600〜1700mmのワゴンRは合理的な選択肢だろう。

 同様のことがワゴンRのライバル車となるホンダN-WGN、ダイハツ・ムーヴ、日産デイズにも当てはまる。まずこのタイプの軽自動車を検討して、車内が狭かったりスライドドアが欲しいときに、N-BOX、スペーシア、タントを選ぶと良いだろう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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