アイスからスノーまで日本の冬に挑む！ネクセンのスタッドレスを徹底チェック

圧雪路からアイス路までネガの少ないバランスのよさ

　高速を降りると、シャーベット路面から、圧雪路、そしてアイスバーンと、刻々と変化する日本特有の厳しい冬期路面に出くわす。まず結果から言おう。トップレベルのスタッドレスタイヤの能力を持っているか？　と聞かれると、否と答えるが、かなりバランス良く各性能を持っており、これでお買い得感のある実売価格であればオススメだ。

　水分量が多いシャーベット路では、横溝が少ないからか、クルマが軽いことも相まって若干タイヤが浮いてしまう特性はあるが、ブロック剛性は高いので、水分量が少ない環境ではザクザクと路面に刺さりグリップを発揮。

　ちなみに圧雪路では、このザクザクと雪面にブロックが刺さる効果が威力を発揮して、十分なグリップ力をもたらす。しかも、強くブレーキを踏んでもブロックは倒れ込まず、接地面積を確保し続けるし、ザクザク力も維持し続けるので、かなり安心感は高い。そのような特性は、同時にグリップ感の掴みやすさを生んでおり、路面状況を掴みやすいという、冬期路面でもっとも大切な能力を高いレベルで備えている。

　一番気になるアイス路面だが、低温では柔らかく柔軟に、高温では硬くシッカリとする、特殊ポリマーを使ってシリカ含有率を高めたコンパウンドが威力を発揮。サイドウォールの柔軟性が、タイヤへの瞬間的な負荷を吸収してくれるうえに、高いブロック剛性が安定した設置面積とエッジ効果を発揮して、思いのほか高いグリップを発揮する。

　これだけであれば、手放しでオススメできるスタッドレスだが、1つだけ忠告しておこう。当然のことだが、スノーとアイスバーンでは無理は禁物。縦方向のグリップレベルはかなり高いのだが、ハンドルを切り出した時のグリップレベルはそれほど高くない。

　勘違いして欲しくないのは、曲がっている最中のグリップレベルは安定しているし、高いし、踏ん張りかんもある。その背景には、左右非対称パターンの外側ブロック剛性の高さが効果を発揮しているのだろう。しかし、そこに到る過程、タイヤがねじれ出す際のタイヤ全体の剛性感が若干低く、そこで路面にグイグイと食い込んでいたグリップ感や操作感が若干ロスしやすい。もちろん街中走行やスポーティに雪道を走ろうと考えたり、飛ばす方でなければ、気にするようなレベルではない。しかし、なまじグリップレベルが高いし、グリップ感も掴みやすいので、無理しようとすると若干足もとをすくわれる可能性もあるし、連続するカーブの切り返しをビタッと決めようと考えると、それには応じてくれない。