【試乗】もう手放し運転が手放せない! 新型スカイラインが大幅進化で日本市場に返り咲く (2/2ページ)

手放し運転は実用性抜群! ドライバーの疲労軽減は相当なもの

 そのパワートレインはVQ35HR-HM34型で3リッターV6自然吸気で306馬力の最高出力と350N・mの最大トルクを発生するVQ35HR型エンジンに、最高出力68馬力、最大トルク290N・mを発生させるHM34型交流同期電動モーターを組み合わせているもの。トランスミッションはV6ツインターボと同じ7速フルATで各ギヤ比も同一だが、低速トルクの増大分ファナルギヤのみハイギヤードに設定し直している。

 走り始めはEV走行が可能だが、アクセルを多少踏み込むと即座にエンジンが始動しHVモードとなる。エンジン始動時のショックはほとんど感じられず上手くマネージメントされている。HV化によってパワースペックは高まっているものの、車両重量は100kg以上重くなっているのでサスペンションはさらに固さを増していて、乗り味は固くなっている。

 またSPグレードは装着タイヤが19インチと1インチアップされていることも足まわりが固く感じる印象を強めているようだ。

 重量増とトルク増に対しパワートレインの支持点剛性が足りなくなり、ギシギシと異音を発する場面も多かった。このあたりは今後の改良が望まれるところだ。一方、パーキングブレーキはHVに合わせて電動化されている。

 さて、前置き(?)が長くなったが、今回の新型モデルでもっとも注目すべきポイントは「プロパイロット2.0」が世界初採用されたことだ。これはナビゲーションと連動して高速道路上の走行を広く支援するという新しいシステムで、同一車線内ハンズオフ機能も盛り込まれている。そこでナビゲーションに高速道路(作動規定を満たす認知済み高速道路)を走行するルート設定を行い、試してみる。

 一般道では特別なことはないが、高速道路に入ってからインテリジェントクルーズコントロールを作動させると完全に手放しした状態で走行できる。設定可能車速も制限速度全域で可能となっていて実用性が高い。車線が読み込まれ中央分離帯が認知されるなどいくつかの条件が満たされると、メーター内及びヘッドアップディスプレイ内の表示がグリーンからブルーへと変わり両手離しが可能となる。この状態をずっと継続できることでドライバーの負担が大幅に軽減されることが確認できた。

 ただ、だからといってスマホを操作したり景色を眺め続けたり居眠りしたりするのはもちろん御法度。何らかの条件が変化しモニター内の表示がブルーからグリーンに戻ったらドライバーはステアリングに手を戻さなければならず、常にモニターをチェックしていなければならないからだ。

 またドライバーの状況をモニタリングするカメラが装備されていてドライバーが目を閉じていたり居眠り姿勢となっているなど異常を察知するとアラームが発せられ、それでもドライバーが正しく反応しないと最終的には車両を停止させエマージェンシーコールがかかり緊急通報がなされる。ドライバーが急病を発症してしまっている場合などは有効なシステムだ。

 シャシーの直進安定性が増したためか両手離ししていても安心感が高く、クルマの制御に任せていても不安を感じない。これはスカイラインのベースの走行性能が高まったがゆえに可能となった部分と言えるだろう。

 前方に低速走行車両が迫るとレーンチェンジを提案され、ステアリング上のスイッチを押してステアリングに手を添えると、システムが後方接近車両の有無を確認しウインカーを点灯して自動的に追い越し車線へと移動し追い越してくれる。元の車線に戻るのも自動だ。また高速出口が近づくと出口サポートが提案され、車線変更と同様にスイッチ操作で自動的に出口レーンへと進み、車速を制限速度内に落とす。ETCゲートの通過は手動だ。

 一般道ではドライバーへと操作がカムバックするが、高速区間の自動化で相当に疲労は軽減されていてフレッシュな気分で運転に戻れた。

 ということで、新型スカイラインは車体も走りも改善され、プロパイロット2.0の完成度も高く、見事に変身を果たしたといえる。

 残るは「400R」の走りをサーキットで試すだけだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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趣味
海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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