過去に業務提携はあっても資本提携は初めて
こうして、トヨタとスズキ、豊田家と鈴木家は長年に渡って親密な関係を築いてきた。その両社が、これまで協業に踏み切ってこなかったことのほうが不思議なくらいだが、それなりにドライな時期もあった。トヨタが軽自動車規格を廃止すべしという意思を見せた時期もあったくらいだ。同郷の創業家として親交はあっても、ビジネスは別というのが両社のスタンスと外からは見えていた。
しかし、自動運転やコネクテッドカー、シェアリングサービスに電動化など自動車業界の変革期において、ついに資本提携まで踏み込んで手を握ることになった。スズキとの協業において、トヨタの子会社であるダイハツとの軽自動車におけるすみ分けなども課題になると心配する向きもあるが、長年に渡って温めてきた仲である。じっくりと準備して提携したこともあり、そう簡単に破綻するようなことはないだろう。
トヨタはスズキだけに限らず多くの国産メーカーと手を組んでいる。今回のメインテーマである「自動運転」については、その基本システムの開発が急がれている。自動運転システムはインフラそのものになる可能性もある。デファクトスタンダードを取ることができれば、グローバルに先行者利益を得ることも期待できる。大きな利益を得ることが期待できるからこそ資本提携が必要になったと考えることもできそうだ。
いずれにしても、トヨタを中心とした日本発の自動運転テクノロジーは、国産メーカー各社が生き残るためには必須といえる技術。今回の資本提携は、その勢いを増すことだろう。
※記者会見の画像は2016年3月の業務提携への検討を発表したときのもの。