自動運転にはナビのデータが必要になる
こうした機能はトヨタだけが有しているわけではない。欧州メーカーではACCとナビを連動させて減速をコントロールしているモデルも増えている。また、日産の「ナビ協調変速制御」も地図データと運転操作からエンジンブレーキを有効に使う制御を可能としたものだ。安全運航と省燃費、そして運転支援といった要素においてナビとの連動が有効な時代となっている。こうした機能を持たないコンパクトカーなどであれば後付けナビやスマホナビという選択もあり得るかもしれないが、ナビと車両の協調制御域はどんどん拡大していくだろう。
さらに自動運転の実現においては地図データが車両制御に欠かせない要素となっていく。たとえば、日産スカイラインは「プロパイロット2.0」という高速道路においてハンズオフ(手放し)運転ができる先進運転支援システムを採用しているが、その実現にはより情報の緻密な3D高精度地図データは欠かせない。このデータの精度は高く、サードパーティのナビで代替することは考えられないレベルにある。自動運転は純正ナビとの協調制御が実現する機能といえるのだ。
もちろん、GoogleのようなIT企業がプローブ情報も利用して、自動運転用の高精度マップをどんどんアップデート、それを前提に自動運転が作動するという可能性も否定できない。それにしても自動運転の制御と地図データはほぼ一体化するという未来像であることには変わりない。
いずれにしても、車両とリンクしない後付けのカーナビというのは少なくとも自動運転の時代には存在しているとは考えられない。せいぜい、スタンドアロンのナビは歩行者やサイクリストが利用するものという形になるだろう。