子育て層でなければヒンジドアのメリットは捨てがたい!
まずは走行性能だ。スーパーハイト系はより重心が高く、カーブや車線変更ではグラリと車体が傾く姿勢変化が大きめだ(新型ダイハツ・タントを除く)。さらに車高の高さ、両側スライドドアの採用(剛性をえるためのドアまわりの補強を含む)によって車重が重くなり(日産デイズハイウェイスターX:840kg/デイズルークス ハイウェイスターX:950kg)、同エンジンなら加速性能、燃費性能で劣ることになる。つまり、大人1.5人ぶん重いわけで、とくにフル乗車、荷物満載、高速走行、登坂で大きな差となりうるわけだ。
当然、燃費性能にも影響し、デイズが29.8km/Lのところ、デイズルークスは22.0km/L、軽量さが持ち味のワゴンRが33.4km/Lのところ、スペーシアは28.2km/Lになる(一例)。
ハイト系のメリットはそれだけではない。両側スライドドア車は大開口となるスライドドア部分の剛性を確保するための補強はしてあるとはいえ、長期間使っているとそこからのキシミ音が発生する可能性がある。それを根本から改善するのも難しい。これはミニバンでも同様なのである。
せっかちな人は、スライドドアの開閉に時間がかかるのを嫌がることもあるだろう。スイングドアならパタンと瞬時に開け閉めできるのに、スライドドアは電動でもそれなりに時間がかかるのだ。しかも、電動スライドドア車全般に言えることは、開閉時にスライドドアの作動音とともに、注意喚起のアラームが鳴ったりして、深夜の住宅街などではけっこう気をつかうのだ。
よって、子育て世代(チャイルドシート使用年齢)なら、迷わずスーパーハイト系を薦めるが、そうでないユーザーなら、ハイト系でも室内空間は十分すぎるほどであり、すでに説明した走行性能や燃費性能のメリットとともに、価格面のメリットにも注目すべきだろう。たとえば、ダイハツ・ムーブX “SA III”は127万4400円(2WD)。対する新型タントの同格グレードとなるX(スマアシ標準装備)で、発売年次の違いから装備差があるとはいえ、146万3400円(2WD)に達するのだ。
最後に、今お薦めのハイト系軽自動車を紹介すると、プロパイロットやオペレーターサービス、SOSコールも選択できるデイズ、すべてのグレードに最新のホンダセンシングを装備し、ついにホンダ軽として始めて渋滞追従型ACCも標準化された新型N-WGN、そして、軽量で走り爽快(そうかい)、内装の質感も高いワゴンRである。ムーヴは次期型に期待、としておきたい。